ひろたん さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「手つないでくれたら西片の勝ちでいいよ」
第1話、夕焼け空、高圧線の鉄塔、土手下の河原、典型的な田舎の風景。
そこに学ランとセーラ服の中学生の男女が学生カバン片手にやってきます。
そして、他愛もない会話をしながらふたりで水切り。
これだけで、だいぶ絵になる青春ですよね。
ふたりの素朴な制服姿もこの物語にいい味を出していると思います。
また、ふたりの学生カバンは、いつも寄り添って置いてあるのも微笑ましいですね。
■この物語のテーマ?
「手つないでくれたら西片の勝ちでいいよ」。
第1話のエピソードで高木さんが主人公西片に言ったセリフです。
高木さんなら言いそうなセリフですが、意外と1期では言っていません。
そして、このセリフこそが、この2期のテーマだと思えました。
高木さんの「勝ちでいいよ」は、「してほしいよ」の裏返しです。
このセリフと高木さんのそんな気持ちを一緒に最後まで覚えておいてほしいです。
すると、最終回の最後のシーンとエンディング曲がよりよく感じられると思います。
■ズルいよ、第7話の冒頭
第2話からは、1期に比べて若干キレがなくなったように感じました。
そんな感じで、ちょっとマンネリ気味だなぁ~と思っていた物語の中盤。
第7話の冒頭で林間学校の集合写真を嬉しそうに見ている高木さんが登場します。
ほんの数秒ですが、結構衝撃的です。
なぜなら、高木さんが、黒い服を着て、口紅をつけて、髪を縛っています。
つまり、大人です。
これはいったい何を意味するのでしょうか・・・。
ちょっと目が覚めました。
察しがいい方は、お気づきですよね。
「からかい上手の(元)高木さん」の1巻目の表紙と同じ恰好なのです。
ダレてきたところにふたりの将来を暗示する場面を入れてくるなんてズルいです。
■後半、ヒートアップ
第7話からは、サブタイトルがヒートアップしていきます。
林間学校、体育倉庫、保健室、夏祭り、・・・。
これは、何かを妄想せざるを得ない上手なサブタイトルです。
しかし、そんな視聴者の先走る妄想をみごと打ち砕いてくれるのがこの作品です。
第10話からは、高木さんのセリフもエスカレートしていきます。
より具体的に、より激しく、より艶めかしく(笑)
西片は、外堀を埋められていき、たじたじです。
でも、西片もなんとなく自分の気持ちに気づいていきます。
そして、ついに高木さんを夏祭りに誘うのでした。
一見、高木さんの作戦勝ちのようですが、実は、そうではありません。
高木さんは、最初から作戦なんて練ってはいません。
ただただ、そうなりたいと願う素直な想いの結果です。
それは、誘われた時の高木さん表情が本当に嬉しそうなことからもわかります。
とても素直で可愛らしい表情でした。
高木さんは、実は、今までもストレートに自分の気持ちを伝えてきました。
しかし、いつも照れ隠しのため思わせぶりな態度にすり替えて身を引いてきました。
やはり、高木さんは、女の子なのです。
そして、最後は、男の子から言ってくれるのをずっと待っていたのでした。
■まとめ
この作品の各エピソードは、一見、それぞれ独立しているかのように思われます。
しかし、その裏では、一歩一歩積み上げてきたものが確実にありました。
ここに、この作品の魅力があるのではないかと思っています。
それは、ほんの些細な嬉しさを少しずつ積み上げていくのが恋愛だと思うからです。
最後は、ベッタベタな展開が逆に眩しくてよかったですよね。
ちゃんと中学生の恋愛物語って感じでした。