「東のエデン(TVアニメ動画)」

総合得点
86.3
感想・評価
4753
棚に入れた
23291
ランキング
204
★★★★☆ 3.8 (4753)
物語
4.1
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

きっと何者にもなれないジョニーの反撃?最後はミサイルしかないのでしょうか。

 なんで今まで見てなかったのか。非常に面白かったです。久々に一気見しました。11話という中途半端な長さですが、思い切って冗長な部分は切ったのでしょう。無駄な部分がほぼないような展開でした。

 キービジュアルで羽海野チカの真似じゃんと思ったらキャラデザは羽海野チカでした。このデザインでヒロインの女の子のリアリティが上がって非常に見やすかったし、感情移入しやすかったです。

 そしてヒロインの心情を表す場面で電車の窓に映った表情が3回出てきましたね。この演出が良かった。特に恋愛感情ですね。
 このヒロインの恋愛感情については、複雑です。まあ、あの安牌坊ちゃん風の彼への感情、強引で得体のしれない男に惹かれる心理、姉の夫に恋してしまうなど、結構リアリティがありました。
 巻き込まれ型で事件の解決に役立っていたか、といえば間接的でしたけどね。

 テーマですね。パトレーバ―Ⅱ+攻殻機動隊+スピードグラファーっていう感じですね。あらすじから言ってゲームものに見えてゲーム要素はほぼありませんでした。
{netabare} 就職問題、起業、金、そしてニート。貧富の差…というよりも機会なんでしょうね。一度ニートループにはまってしまうと這い上がれる機会がない。主人公の正体が最後まで明かされないのは「何者でもない」ということでしょう。
 また「東のエデン」というサークルもニート、そして2万人もニートで、この2つのニートには技量の違いがありました。2万人のほうは何といっても裸ですからね。何も持たないニート達も集まれば力になるんだぞ…と。
 10億円もっている奴等は自分たちの正義で動いていました。病院やジョニー狩りですね。正義ではあっても日本は変えられません。つまり日本を変えるのは金ではなくニートパワーなんだぞ…と。

 ここはテーマは良かったんですけど、結末ですよね。東のエデンというアイテムと合わせてこのニートパワーの表現が弱かったかなあ。戦闘機で迎撃するというのはいいんですけど、ニートのどういうアイデアや情報が貢献したのかがわかりづらかったですね。ミサイルを阻止する部分の説得力がイマイチでしたね。

 金と就職問題という資本主義の問題です。資本主義は人口が爆発的に増加したWWⅡ後の例外的な時期以外は、結局資本家が儲かる仕組みになっているというピケティの論「r>g(資本によって得られる富は労働によって得られる富より大きい)」の通りで、国の体制を一度破壊しないとニートに勝ち目はないという理屈ですね。ミサイルによる破壊を物語では否定したわけです。これを2011年の大震災前にやったのは大したものだと思います。

 で、本作は国を変えるために王を作るという結論です。個人的な例外はあるでしょうが2021年現在、ニートが這い上がれない状況というのはまったくその通りになっています。ただ、王を立てる(シンガポールみたいな?)という結論ですね。民主主義とは相反する考え。ヤンウエンリーと対極の考えです。さてこれをどうとらえるか、でしょう。

 もう1つのテーマとしては情報社会…携帯とネットに支配されている世の中。裸の男たちが一番に群がるのが携帯だし、10億もった人間も携帯だけですべてを行っていました。そして、得体のしれないAIがすべてを可能にしていました。
 東のエデンという超高機能のアプリ(サイト?)が商売にならない、という部分も本当の利便性とは何か、情報を利用するとは何かについて語っているような気がしました。

 その他、既存の道徳に捉われないという部分はあのジョニー狩りのおねえさんが担っていましたね。既存の道徳を疑ってかかれ、と。この捕まったと勘違いされた少年、大杉君の部分のミスリードが効果的でなく、うまいどんでん返しにならなかったのが残念なところでした。

 ジョニーが〇ン〇ンと同時にニートを表していたのはなんでなんでしょう。男性性がテーマになっているとは思えませんでしたが。あのロボットのような心象風景から言ってもそういう意図はあったと思いますが…ニートが男性ばっかりということも含めてここがちょっと読み取れなかったですね。男性受難の時代の始まりだったからでしょうか。

 最後の方のタクシーの運転手がアウトサイド?だったんでしょうかね。どうも実際は死んでいないような雰囲気でした。あのジュイスというのがAIだったんでしょうけど、空のシャンパンのビンを持って来た女性でわけわからなくなりました。結局どういうこと?{/netabare}

 長くなり過ぎました。とにかく2022年の今見ると迫真の設定でした。1回見ただけでいくらでも感想が書けるくらいの秀作でした。後から気が付くところもありそうです。それに劇場版があるみたいですね。そちらもチェックします。

投稿 : 2022/01/15
閲覧 : 275
サンキュー:

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