sion さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
謎解きは現実世界にある。
とても面白かった。世界各地にある、色々な伝説を散りばめて、オルレアンの聖女伝説の一つの解釈としてのジャンヌダルクを、とてもドラマチックに映像化していた。切ないほどの憧れと取り戻せない悔恨はアベルのみならず、当時の魔女裁判を知る者には胸に迫る悲しみすらも覚えるかも知れない。
そう。この「お話」には秘密がある。いや、世に語られている謎と隠された真実(と思われている)を集めまくって作られている。
聞いたことはあるだろうか?
「箱舟」(ノアの箱舟)
「ソロモンの秘宝」(ユダヤの第13種族)
「アレキサンドリア図書館の失われた10万3千冊の魔導書」
「日本創生にまつわる3種の神器と失われた剣」(七支刀)
・・・そう、一般に「オカルト」と分類される・・・だがしかし人々の心を捉えて止まない壮大な物語達を。
このアニメは知らなければただ単に綺麗なだけの絵物語になる。だが散りばめられたキーワードを知れば幾万通りもの見え方をする。
「カインとアベル」「キャプテンキッド」「真田十勇士のその後」「聖杯物語」「イングランド王家と海賊にまつわる逸話」「十字軍の謎」等など。興味がお有りならちょっとググって見れば興味を引く内容が出てくるかも?
それら夢物語に描かれる楽園、最終目的地「シャングリラ」「パライソ」「ヴァルハラ」作者たちの描いたそれらの一つのビジョンが、あの映像の「エデン」だ。
つまり「海賊王女」は世界中にある解き明かされていない「謎」を一つの形として映像化されたモノで、多くのユーモアや希望をのせた夢物語なのだと思う。
あの宝物庫のたからもの達はどんなモノだった?時代も場所も限定されないあらゆる所のあらゆる時に集められた物だった。東洋西洋を問わず、現代過去も問わず、もしかして未来の世界にある物もあったかも知れないよ?
という事は忘れている(忘却させられている)だけで、実は「フィナのお話」ではなく現実に生きる「我々一人独りの選択のお話」かも知れない。
あなたは自分に与えられた「使命」を知っている?それはもう「果たされた」?それを「知ろう」としないものには解き明かせない「真実」がある。
それを語っているストーリーだと思った。
真田の末裔が大西洋に渡りジャンヌダルクの末裔やイングランド王の係累と渡り合う。冒険活劇として描けば時として陳腐に見えてしまいそうなテーマだが、オルレアンの聖女と英国王子の悲恋としてファンタジックに美しくまとめて作品化している。まぁ冷静に考えればどちらも荒唐無稽ではあるけれど、それを「絵本のお話」のように上手くまとめている。
たかがアニメのお話。されど世にある「昔語りや童話」のように消された真実や語られない歴史が隠されている・・・かも知れない。
あなたに問う。語られたキーワードをいくつ知っている?それらは「アニメの中」には無く「現実世界」にある。それを語るのは現実世界ではタブーであり危険でもある・・・が、とても面白い。アニメが「お話」である以上総てをその中に求めるのも仕方が無い。ただ、それが「語ろうとしているもの」がアニメの虚構の中だけなのか?それとも私たちが生きている現実の中の事なのか?は分別して見ないと、作者が伝えたいものが見えない場合もあるかも知れない。
キャラクターの名前にまつわる設定。音楽や歌詞に乗せられた符号。時代背景としての年代設定の遊び。選ばれた者達の栄光と不条理・・・そう、作者たちのそういった遊びにどれだけ気が付けるか?でこの「海賊王女」の面白さは変わるのかも知れない。まぁ、どう見てどう感じるのか?は我々の自由なんだけどね。
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