ひろたん さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
久美子とあすかの二人に絞ったスピンオフ作品として成功している
前劇場版「ようこそ」に比べるとストーリーの構成が格段に良かったです。
それは、久美子とあすかの二人に絞り関係ないところは潔く切り捨てたからです。
これだけ軸がはっきりしていると、ただの総集編とは呼べません。
もはやこれは「リズと青い鳥」のような二人の関係に絞ったスピンオフ作品です。
TV版との大きな違いは、全国での演奏シーンが追加されていることです。
このシーンがあって、はじめてサブタイトルが回収されます。
あすかがユーフォを始めたきっかけになった父親にむけてメロディを届けたのです。
「届ける」には、相手が「受け入れる。承知する。」の意味があります。
この物語でも、演奏後にあすかの父親から間接的にねぎらいの言葉がありました。
あすかのメロディが父親にちゃんと届いたことが分かった瞬間です。
また、久美子も同様に楽器を始めたきっかけになった姉にメロディを届けています。
そして、最後には、あすかから久美子にもメロディが手渡されました。
全国の会場であすかに「ユーフォが好きだ」と言った久美子。
その久美子にあすかは「響け!ユーフォニアム」と言うメロディを届けたのでした。
メロディとは、音の旋律だけではありません。
そこには伝えたい想いや気持ちも含まれているのだと思います。
TV版を再構成した劇場版は、物足りない部分があるのは仕方ありません。
前作は良くも悪くもただの総集編のように感じたので余計に不満がありました。
しかし、本作は、尺の短さを逆手に取ったスピンオフ風作品だったので満足でした。
ちなみに楽器に譜面台や服の映り込みまでを描くって・・・正気でしょうか?
「神は細部に宿る」とはよく言ったものですね。
細かい部分までこだわり抜くことで全体としての完成度が高まると言うことです。