栞織 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
背景画に注目
原作の菅野文さんは、その昔「北走新選組」などで読んだことのある方です。今回アニメの他に、原作の無料コミックも目を通しました。かなり難解なイギリスの薔薇戦争の話が題材で、アニメ版も歴史事項を知らないと置いてけぼりっぽいです。私も詳しいことはわからないのですが、何かの本でこのリチャード三世は両性具有者みたいなことが書かれていたのを見た事があります。それにシェイクスピア史劇などでの話を加えているのではないかと思います。不勉強なのでそれ以上のことは言えないのですが、お話としては、ヘンリー六世?とこのリチャードの恋物語みたいな話になっていて、リチャードが女性と男性の心のふたつの間で揺れ動くのがテーマになっていると思います。それが、これまでよくあったBLものや男装の麗人ものではないもの風に描かれていて、今後どうなるのか非常に興味が湧く展開です。この作品はリチャードの生い立ちから丁寧に設定されており、一人の人間としてその心に迫っていると思います。
そういった両性具有者の話がこの作品の見どころなのですが、それ以外に特筆できるのは、背景画が非常にすぐれていることです。昔にアニメ界で活躍されていた、故・椋尾篁氏の画風を受け継いだもので、ムクオスタジオの方なのでしょうか、おそらく水彩画の洗い出し技法が、この作品のブラック・ファンタジーっぽい感じによく合っていると思います。アナログ画の手法でとても繊細な表現になっています。最近CGで描いたような背景画が映画「君の名は」以来主流になっていましたので、このような昔ながらの背景画は、私のような年寄りにはほっとします。惜しむらくは日本が題材の作品でない事が残念ですが、イギリス王室の話であっても、うまく作品世界を構築されていると思います。今後の展開に期待します。また最終話まで拝見して感想を書きます。
→8話現在、両性具有ではなくて、男装の麗人だという話になってまいりました。しかしリチャードはキャラデザインがほんと男みたいな感じなので、最終的にはどうなるのかと思ったり。たぶんでも女性ということでFAかな。見た目BLぽいというところが、この作品の売りなんでしょうきっと。
最終話まで見ました。両性具有ということで決着しましたね。あらすじは多岐にわたり,拙には説明できないので割愛させていただきます。バッキンガムが第二部で成長しまくりで驚きました。第一部ではちびみたいだったので、そこがちょっと違和感だったかな。リチャードは全然変化がなかったですからね。リチャードの父がリチャードの実の親でなかったという話で、父親はそれも知っていたとしたら、かなり罪な男だと思いました。しかしヘンリーが最後替え玉で死ぬとは思いもよりませんでしたね。リチャードはケイツビーと愛の逃避行ということで、ヘンリーが気の毒だったり・・・しかし第一部でリチャードを拒絶したから、当然の報いということになるのでしょうか。
全体的にリチャードが女性だったら、まさに多くの男たちに思われるハーレクインな展開でもっと楽しめたと思いますが、BLを全面に打ち出していましたから、私には今ひとつで作画もあまりよくなかったしで。ただ波乱万丈のお話でさすがシェークスピア劇と思いました。お話は楽しめましたです。