ナルユキ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
これはきっと、永遠に再映される名作
2011年、オリジナルアニメとしては異例の大ヒットを果たした『魔法少女まどか☆マギカ』。どれくらいすごかったかというとWikipediaに「作品の評価」って項目が独立してあるくらい。これ、他の作品につけようとしても早々に消されてしまうからね(笑)
売上等の詳しい数値は各自で調べていただくとして、これだけすごいと映画化も当然スムーズに検討された。本作は『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』と合わせる形で作られたTVアニメ版の再編集である。
【総評】
基本的なストーリーはTVアニメ版と変わらない。12話という尺はおよそ6時間だと考えがちだが実は毎話のOPとED、CM等を除くと1話は21分程度であり。少しのカットで前後編4時間の本作の尺にきっちり収まったのである。{netabare}まあマミの死を目玉焼きの黄身で思い返して泣いてしまうまどかや、正義を貫くために杏子やほむらと戦う覚悟を持つさやかなど、TV版でも印象深かった情緒的なシーンや台詞がカットされてしまったのは残念ではあるが、それらが観たいならTV版で、ということだろう。{/netabare}
{netabare}代わりにまどかとほむらの会話でさらなる魔法少女の設定が明かされた。「魔女と戦わなければ魔法少女は普通の人間として暮らせるよね?」と訪ねるまどか。これはTV版でも視聴者の中で出てきた疑問だ。そんな希望の抜け道ともいえる案をほむらが淡々と打ち砕く。{/netabare}
{netabare}「魔法少女は肉体の維持にも少しずつ魔力を消費するの。ただ生きているだけでソウルジェムは少しずつ穢れ、いつかはグリーフシードが必要になる」
ああ、なんて残酷な追加設定なのだろう。絶望へのレールはそのままでは決して脇道に逸れることがないのである。この救いの無さこそ、まどマギが名作であり続ける所以だ。{/netabare}
嘗て映画館で公開したことを鑑みれば、あの幻想的かつグロテスクな印象を与える『イヌカレー空間』と通称呼ばれる背景は大きなスクリーンでさぞ映えていただろう。画面の隅から隅まで描かれたクセのある演出は小さな画面で見るよりも魅力があり、始まって直ぐに劇場公開した意義を感じることのできる部分である。そしてキャラクターたちの悲痛な叫び・嘆きを劇場のスピーカーや音響効果で流したのならTV版よりもキャラクターへの感情移入が捗り、物語の残酷さを後押しするだろう。
話の骨組みは殆ど崩れていないため、まだ『魔法少女まどか☆マギカ』を観たことがない人もTV版と同じくらいに楽しめる筈だ。勿論、観たことのある人は細やかではあるがTV版との違いを是非とも楽しんでもらいたい。リバイバル上映が決まったら是非、劇場へ!!