エイ8 さんの感想・評価
3.7
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
本当にこのオチで涙すると思う?
『Re:CREATORS』(レクリエイターズ)は、TROYCA制作による日本のオリジナルテレビアニメ作品。原作およびキャラクター原案を漫画家の広江礼威、監督をあおきえいが務めており、2017年4月から9月まで放送された。空想上のキャラクターたちが現実世界でクロスオーバーするメタフィクションな作風をもつほか、クリエイターという職業に焦点を当てたストーリーが展開される(wikipedia)
この作品におけるメインターゲット層は結局どこだったのだろうか、非常にわかりづらかった。主人公の水篠颯太(16)のような学生をターゲットとしているのか、それとももっと上の社会人層か。ひとまとめにして「クリエイターに興味がある層」とも考えたが、それにしてはやや散漫な感じがしてつかみどころがなかった。上記のwikipedia紹介文を見る限り実際のクリエイターの現実を描写しているようではあるようで、まあ確かにそう感じたことは感じたが、あんまり好意的な受け取り方は出来なかった。あにこれのシステム上平均満足度が3.7となっているが、実質的な満足度は3~3.5の間ぐらい。音楽でだいぶ得点を稼いでいる形となっている。
作中で松原が水篠を叱るシーンがある。「仮に君がこれを何とも思ってなかったら俺はそんな奴とは口も利きたくない」だったか。結構厳しい言葉だ。個人的にはちょっと辛辣すぎやしないかと感じた。ただその時点では松原さんの実年齢はわからなかったので実は結構若いのかなと思ってたら後に38歳設定ということが判明した。正直いい歳した大人が言うようなセリフではないと思う。
これには正直戸惑った。水篠のやったことは悪いと言えるようなほどのことではなく単なるめぐりあわせの問題だとしか思えなかった。松原がセツナと特に親しい間柄ならわからないでもないが、そうでない以上慰めることはあれど非難するようなことではない。だからこれは、若い視聴者に向けて抑止の意味も込めてあえて厳しめのメッセージを送ったと解釈するほかなかった。そうでなければ、少年のような心をもったラノベ作家の倫理観もまた少年のようだという皮肉かのどちらかだと。
一方で、会議中でのちょっとした言い争いでイラストレーターのまりねが逃げてしまうシーンがある。まあ、あるあるなんだろうなという感じがしたのだが、この辺がちぐはぐ感の元だった。こんな描写いるかね?と。これからクリエイターを目指そうとしている層にこんなもの見せる必要がある?「お前たちは無駄に繊細で使いづらい」って言いたいの?勿論そういう「悪意」を込めてる可能性もあるが、やはり本質的には「大人」をターゲットにしてるから軽い気持ちでそういう内輪ネタを入れてみたんだろうと感じた。ただより正確に言うなら「あんまりそういう事は気にして作ってない」というのが一番正確なところだろう。(最大限好意的に捉えるなら「若い子が怯えるのでおじさん達は喧嘩しないように!」ってところか。クリエイターの世界には愛と平和が必要です。)
ストーリーの方も完成度は高いとは思えない。2クール目に入るにあたりテコ入れをしたというよりは、初めからあまり作りこんでないという印象を受けた。
特にクライマックスは酷かった。なんかそれっぽいが空虚な台詞の応酬でアルタイルを退場させ、それを見ていた大勢の観衆を感動させる。(声優さんは涙まで流した。)あの茶番を感動した、と感じた視聴者はどれぐらいいただろうか?個人的にはあれならシリウスで終わらせた方がマシだと思ったが。もし本当にあんなことを大勢の観衆の前でやったならブーイングどころじゃ済まないんじゃなかろうか。
もう一つは真鍳と水篠の会話だ。真鍳は面白いことを求める性質があるのだが、終盤での水篠との会話で彼等に力を貸す形となる。が、水篠くん何かおもろい事言った?ふつーのことをふつーに言っただけやん。それで陥落する真鍳ちゃんってチョロすぎない?というか、この辺で真鍳のキャラに変更を加えられており、原作者を殺したのではなく勝手に死んだみたいな形にもっていき実はいい奴みたいな流れにしようとしていたが、いやいやもう最初に本屋さん殺しちゃってますからそれは無理筋ですよ、と。ただまあ、いい奴にしないと水篠くんのしょーもない話に陥落するわけもないので、ようするにそれはもう単純に破綻しちゃってるわけです。
結果的に弥勒寺から奪われた板額も特に何の展開もなく普通に返してもらった流れをみたりすると、本来は別の展開を考えたけど上手く行きそうにないから止めた感がすごく強い。結局のところ、真鍳ちゃんを上手く立ち回らせられなかったことが作品にとって致命的なダメージとなっている。というかキャラ能力の難易度が高すぎです。とりあえず異能ものでそれっぽいの作ってみて、ま、動かしてりゃ何とかなるでしょって感じで配置して結局何ともならなかった感じ。
概ね皆さまの評価通り、素材は良いけど料理が上手く行かずの典型的な作品。