でこぽん さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
物語の趣旨は大変素晴らしいので、もっと深く描いてほしかった
この物語で『原作者の言いたいこと・やりたいこと』は良くわかります。
しかし、それならば、もっともっと深く描いてほしかったです。
この物語は、内容が浅すぎて、都合よすぎる筋書だったのが残念です。
この物語では、現代人の相馬一也が異世界に召喚され、その国の王として傾いた財政を立て直し、国を繁栄させます。
相馬が召喚されたエルフリーデン王国は、無能な国王により財政が傾いていました。
(でも今の日本ほど借金まみれではありません。
ちなみに今の日本は、先進国の中でもダントツに借金まみれの国家です。
借金額を日本の人口で割ると、赤ん坊から老人まで一人当たり一千万円ほどの
借金を抱えており、いつ財政破綻しても不思議ではありません。
また余計なことを書いてしまいました…)
その財政を立て直すために相馬は、農業改革や人材登用、土木事業など、現実的なことを着実に実践します。
この発想は、凄く共感できます。
異世界で現世の手法を用いることは、画期的であり正しいやり方です。
しかし、物語の内容が浅すぎるのが、このアニメを『素晴らしい』と言えなくしています。
それさえできていたら、きっと素晴らしい物語として長年語られていたでしょう。
例えば農業改革は実施する際に幾多の困難があるはずですが、その困難を全く描いていません。
(実際の例として、江戸時代に膨大な借金を抱えていた米沢藩の藩主となった上杉鷹山が
財政を立て直す際は、素晴らしい改革を実行しましたが、何度も重役連中に妨害
されました。
それでも血のにじむような努力で少しずつ財政を立て直したのです。
ちなみにケネディ大統領の最も尊敬する日本人が上杉鷹山でした。)
藩主が先頭に立って改革しても妨害があったのです。現体制を変革するのはそれほど大変なことなのです。
それに人材登用で、『先ず隗より始めよ』の諺(ことわざ)を用いたのであれば、
2回目以降の人材登用の様子を描いて多数の有能な者を見いだす描写をしてほしかった。
それが全く描かれず、逆に1回目の人材登用で得た『隗』に相当するポンチョを後半もずっと重要な役につけていました。
これじゃ口是心非(こうぜしんぴ)です。
そして、最も残念だと私が感じたことは、現実主義路線だったにもかかわらず、最後は戦争で問題を解決してしまったこと。
戦争で物事が解決するのであれば、この物語の趣旨が全く意味をなしません。
しかも、その戦いの内容も浅すぎて、都合よく描かれすぎています。
但し、良い内容も多くありました。例えば…
・王様が部下と同じ食事をとり倹約に努めたこと
・博物館に展示されていた勇者の袋を作業に用いて有効活用したこと
・港を建設する際に住民の声を聴き津波に備えたこと
・土木工事の最中に、その人員をすべて災害救助に向かわせたこと 等々
物語の趣旨は大変素晴らしいので、もっと深く描いてほしかったですね。