kouji さんの感想・評価
2.0
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 2.0
音楽 : 3.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
新規お断りの、原作ファン向けOVAレベルのクオリティ
【物語】
マブラヴを初めて見る人からすると、「よく分からない人達が勝手に内ゲバしてるだけ」の今作。原作三部作の前二作をすっ飛ばして、今回アニメ化された三作目の序章部分もアニメ尺に収まるよう大幅カットされているので、原作プレイ済の人ならともかく新規視聴者には物語の展開について行けるだけの情報量が圧倒的に不足している。
【作画】
ロボ作画なら5点、原作ファンでなくてもロボ作画はかなり見応えあったんじゃないかと。
一方で人物描写は、せいぜい2点が妥当。3D作画にリソース割き過ぎてキャラ作画が人でも予算も回せなかったのかなと言う感じで、かつてのトータル・イクリプスを思い出させる偏りっぷりだった。
【声優】
原作ゲーム当時の声とよく似た声優さん達をよく見つけられてきたな、という印象。そこに拘り過ぎたせいか、ただ台本を読み上げてるだけの演技になってしまっているキャラが何人かいたのが残念。特に主人公タケルは尺とセリフ量が釣り合ってないので、超絶早口の棒読み感が増してしまっているのが可哀想だった。
【キャラ】
前二作丸々カット・オルタネイティヴ編クーデター編までのシーン描写も大幅カットされていることもあり、各キャラの掘り下げがとにかく浅い。加えて、コミック版での追加要素だった伊隅ヴァルキリーズの登場をアニメでもねじ込んでるので、本筋である207訓練小隊各メンバーの描写がますます不足してしまっている。タケルに関しても同様で、登場人物全体的に行動原理が理解しづらかったり感情移入が出来なくなっている。
【総評】
原作ゲーム三部作は総プレイ時間80時間近くになるテキストゲーム。主人公タケルを中心とする心情描写をくどいくらいしつこく描く展開も、ゲームプレイヤーは各自のペースで読み進めれば良かったが、アニメ化となると前提が変わってくる。放送時間は限られており、その中でアニメーションの利点である「動き」を魅せつつ原作の物語をどう再構成するかが肝になるが、今作ではただシーンを削ぎ落とすに留まってしまった。
その結果、前二作丸々カットで始まり、三作目の序章部分も「動き」を製作陣が見出だせなかったパートは大幅カットorダイジェストとなってしまったのは非常に残念でしかなかった。
これならいっそ、主人公タケル(平行世界&タイムトラベル経験者)視点でのストーリー進行を潔く諦めて、207小隊メンバー等のマルチ視点でストーリー描写を考え直した方が良かったのでは?