ひろたん さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ふしぎなおねえさんは、好きですか。
私は、この作品がとても好きです。
この作品のモチーフは、「鏡の国のアリス」です。
それに加え、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」、筒井康隆の「時をかける少女」。
物語の雰囲気は、この3作品を足して3で割ったような感じに思えました。
日本の近代と現代、そして、西洋のジュブナイル小説が上手く融合した感じです。
これらの作品は、話の内容が似ているわけではありません。
しかし、心の中にある物語に反応する部分が同じような気がするんですよね。
これを、琴線と言うのだと思いますが・・・。
ですので、これらの作品が好きなら、この作品のことも絶対好きだと思います。
私がこれらの作品が好きなところは、観終わった後のなんとも言えない余韻です。
切ないのはもちろんのことです。
しかし、それ以上の何か言葉では説明できない、とても不思議な余韻が残るのです。
こう言う作品の余韻って、いつまでたっても心に残るんですよね。
そして、何かのタイミングで、また観たくなる、そんな作品です。
「鏡の国のアリス」の最後は、アリスはどうやら夢を見ていたらしいと気づきます。
しかし、それが自分の夢なのか、夢の中の登場人物が見た夢なの判然としません。
ここからは、私の思い出を少し。
{netabare}
私が小学1年生の時の数か月間のことです。
小学校のお昼休みに屋上でよく遊んでくれた小学6年生のおねえさんがいました。
家族ではありませんし、近所でもありません。
そもそも、入学するまでは、接点すらありませんでした。
しかし、なぜか仲良くしてくれた、それこそ、”ふしぎなおねえさん”でした。
他の6年生よりも背が高かったので、私からは、大人に見えました。
その後、そのおねえさんは卒業してしまい、それっきりです。
今となっては、それは、現実だったのか、夢だったのか、不思議な感覚です。
なぜなら、お昼休みにしか会わなかったので、思い出が儚いからです・・・。
一方、私の中には、そのおねえさん目線で自分自身を観ている記憶もあります。
子供の絵日記のように見えていないはずの自分が絵に登場する、そんな感じです。
私が見たのは、そのおねえさんの夢だったのではないかと錯覚を覚えます。
アリスが物語の最後に感じた不思議な感覚と同じです。
これでは、まるで、そのおねえさんが夢の中の幻のようですね。
しかし、私は、そのおねえさんの明るい笑顔と名前だけは今でも覚えているのです。
小学1年生のクラスメイトの顔と名前すら覚えていないのに・・・。
{/netabare}
この作品を観ていたら、そんな思い出がよみがえってきて懐かしくなりました。
さて、この物語は、角川映画らしいジュブナイル作品になっていたと思います。
子供の頃に観ると内容は忘れても、なぜか思い出の片隅にはずっと残る。
大人になってから観ると、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる。
私は、ジュブナイル作品のそんなところが好きです。
かなりおすすめの作品です。