ひろたん さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観たい
ラジオの放送を「とどける」こと。自分の想いを「とどける」こと。それは、相手を「受け入れる(チューニングする)」こと。
この物語は、"コトダマ(言霊)"がテーマです。
しかし、私は、別の部分に着目してみました。
この物語が面白いのは、"言葉"(声)とラジオの"電波"をかけているところです。
なかなか自分の気持ちが伝わらないときってありますよね。
この物語は、そんな状況をミニFMステーションからの放送に置き換えています。
ミニFMの電波は、せいぜい100m圏内にしかとどかないそうです。
これでは、聴いてほしい人に電波をとどけるのも難しい状況ですよね。
それが、まるで自分の想いが相手に伝わらない状況を上手く表現しているのです。
ラジオの放送がリスナーに「とどく」ためには2つのことが必要です。
・1つ目は、放送局から、リスナーに、ちゃんと電波をとどけること。
・2つ目は、リスナーは、その電波を受信するためにチューニングをすること。
自分の想いが相手に「とどく」ためにも同じことが言えるのです。
・1つ目は、自分から、相手に、ちゃんと言葉(声)にして伝えること。
・2つ目は、相手は、その言葉(声)を聞くためにちゃんと「耳を傾ける」こと。
これらに共通することは、そのどちらが欠けても伝わりません。
そして、もっとも重要なのは、お互いに努力が必要だと言うことです。
放送局からいくら電波を飛ばしても、リスナーが聞いてくれなければだめです。
リスナーは、チューニングして、その放送局に合わせる必要があるのです。
自分からいくら言葉で伝えても、相手が聞いてくれなければだめです。
相手は、聞く耳をもち、言葉に込められた想いを理解する必要があるのです。
「チューニング」とは同調すると言う意味です。
相手を理解するためには、ラジオと同じで相手に同調することが必要です。
つまり、相手のことを思って理解しようとすることが大切なのです。
それを「耳を傾ける」と言います。
ちなみに「とどける」には、「受け入れる」と言う承認の意味があります。
自分の言葉を相手が「受け入れ」て、はじめて「とどけた」ことになります。
この物語では、そのことを象徴する女子高生達が登場します。
ある二人は、昔は仲良しだったけど、今は、顔を合わせると口論ばかりしています。
お互い、分かり合おうとしていないのです。
別の子は、ステーションの将来にかかわる大切なことを言い出せませんでした。
そんな状況なので、せっかく今まで培ってきた"友情"が壊れそうになっていきます。
そんなとき、言葉を声に出して「とどける」ことの大切さをこの子達は知るのです。
言葉にして伝えることの大切さ。
言葉を受け取ることの大切さ。
お互いに分かり合えることの大切さ。
そして、それを"友情"と呼ぶこと。
この物語の女子高生たちは、ひと夏を通じて、それらを学んでいく作品でした。
とても青春らしく清々しい物語だったと思います。