螺旋常連からくり剣豪 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
そういう狙いなのかもしれないが……キャラに感情移入し難い
とにかくキャラに感情移入がし難い。86側と共和国側、どちらにも共感できないのが原因でしょうか。
86はなんか奴隷根性が据わっていて、共和国に悪態を吐きながらも反抗しないで戦うバトルマニアみたいなキャラだらけ。86は過酷な現状に心が屈折して、人間的に壊れている面を表現したいのでしょうか。主人公であるシンがそれを最も強調していますが。
ライデンのレーナへの科白から、スピアヘッド戦隊の全員が散っていった仲間のために戦って死ぬことを誇りに考えているようですが、卑劣な共和国に一矢報いようとする奴がいないのは流石に違和感があります。反逆を狙うのは別に現状に慣れたベテランであるスピアヘッドじゃなくても構いませんが、他の部隊まで挙って同じ考えの持ち主と思わせるくらいに他の部隊の描写が無い。流石にここまで酷い体制に対して反旗を翻す者がいないのはどんなに好意的に考えてもよく分かりませんでした。
キャラクターの死も直前にフラグを立てまくって最期に死ぬというギャグみたいな死に方が目立ち、リアリティはある意味あるものの、心が全く動かない。終始そんな調子なので、もう少し描写があってもなぁと思わされます。
戦略もへったくれもない泥臭いところはなんだかんだ好きなので、キャラクターの死に様がドラマチックでないところが悔やまれます。
共和国側の描写もかなり謎が多い。明らかにやばい状況なのに束の間の生活に胡座をかいて86を神風みたいに適当に使い潰すだけってのが……スペックが圧倒的なレギオンの猛威を見る限りでは死者0人とか悠長に報道してる場合じゃありませんよね。しかもどういう根拠で俺たちは安全だとか思ってるんでしょうか。共和国独自の教えみたいなのが国民に数年がかりで浸透していった末路みたいですけど、いくらなんでもあんなご時世に完全に身を委ねて思考停止している、それもほぼ全員なのはアホ過ぎる。事情を知る上層部も命の危機を目の前にしてもなんか達観してるしそこも謎。
一人このいかれた体制に反抗するレーナもレーナで綺麗事を並べるだけで基本無策で突っ込むのみ。力の無い少数の反体制派が何も考えずに孤軍奮闘したって国家反逆罪で処刑されるのがオチな気がしますが。処刑されてはいないですけど。
86のためを想うなら同じ志を持った味方を集めるなど、それなりの戦い方を考えるべきではないかと思います。
そうした悪い面が目立つ序盤はともかく、後半はかなり面白かったです。シンの目的自体は前々から明確に描かれていたので、そこにまつわる部分はなかなかの出来栄えでした。シンが目的を果たした後の旅の描写も良かったです。
作画やCGも同時期のアニメに比べて抜きん出ていました。
ところどころ惜しい良作……でしょうかね。