Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
沈む夢、漂う夢、動き出す夢
この作品はオリジナルアニメだったみたいですね。
P.A.WORKSさん制作なので、視聴を楽しみにしていた作品です。
監督・藤原俊哉、シリーズ構成・柿原優子、そして制作・P.A.WORKS。
少女達の青春を描いた「色づく世界の明日から」でも手を組んだ彼らが新たに手掛けるのは、
沖縄のちいさな水族館を舞台にした完全新作オリジナルアニメーション。
水族館で働く18歳の女子高生・海咲野くくるは、
東京で居場所をなくし、逃避行した元アイドル・宮沢風花と出逢う。
くくると風花はそれぞれの思いを胸に、水族館での日々を過ごすようになる。
しかし、その大切な場所に、閉館の危機が迫りくる。
少女たちの夢と現実、孤独と仲間、絆と葛藤――。
きらめく新たなページが、この夏、開かれる。
公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。
監督を務められた藤原俊哉さんは、P.A.WORKSさんの作品に監督として何作も関わっているようです。
「RDG レッドデータガール」「凪のあすから」「色づく世界の明日から」とそして本作の計4作品…
最近では、P.A.WORKSさんの作品でしか監督をやっていないようですが、私にとってどれも思い入れのある作品ばかりです。
シリーズ構成の柿原優子さんは、これまでいくつもの名作を手掛けられてきたようです。
「そらのおとしもの」シリーズ、「ちはやふる」「機巧少女は傷つかない」「orange」や「はたらく細胞」など…
そして劇場版「そらのおとしものFinal 永遠の私の鳥籠」にも「脚本監修」を担当されていたとか…
色々と衝撃的だったこの劇場版ですが、これまで作り手側の気持ちを一度も考えたことはありませんでした。
この作品を世の中に輩出するにあたり一番葛藤があったのは、きっと作りての皆さまに他ならないのではないでしょうか。
原作を熟読し構成を考えてこの作品をどの様に料理しようかとあれこれ思案する…
ですが、尺がどんどん短くなる度に一から考え直して…はきっとまだ許容範囲だと思います。
でもその尺のせいで作品の見せ場がどんどん無くなり、しまいには描き切れず破綻してしまう…
それを自分の名前を添えて世の中に輩出するのですから、葛藤もひとしおだったと思うんです。
本件をレビューに書くのは、これを最後にしたいと思います。
話が思い切りズレてしまいました^^;
このレビューのタイトルにした「沈む夢、漂う夢、動き出す夢」は公式サイトのトップページに掲載されている文言を引用させて頂きましたが、正にこの作品を一言で言い表している言葉だと思います。
そう、これは夢と向き合う物語…
自分の夢が不変であっても、自分を取り巻く状況も常に不変とは限らない…
寧ろ常に変化し続ける状況に、私たちが適合していかないとあっという間に置いていかれてしまいます。
だから、そうならないよう常日頃から研鑽を積み重ねて、どんな状況にも臨機応変に対応できるスキルを身に着けているのだと思います。
でも、時として自分の許容値を遥かに凌駕するうねりに飲み込まれる時だってゼロじゃありません。
本作品の第1クールにおける、くくるの置かれた状況は正にその状況そのもの…
どんなに頑張っても…どんなに抗っても…決してうまくいかない時には、濁流に身を任せざるを得ないんだと思います。
そこでまた新しい自分に出会えるかもしれないから…
そして、それは風花に対しても一緒…
時に周囲は厳しく残酷で…例え逃げ出したとしても自分に関わる全てを断ち切ることはできませんし、向かった先でも自分との新たな関わりは生まれてくるんです。
風花が手にした新たな関わりは、どこまでも優しく風花を包んでくれるみたい…
だから、くくると風花は出会うべきして出会った存在なんだと思います。
一つだけ心残りが…
くくるの目にした2冊の母子手帳…
その母子手帳が誰のモノかは描かれていましたが、今どうしているかは描かれていなかったように思います。
最終回で少しだけ姿を見ましたが、そういうことだったんでしょうか…?
P.A.WORKSさんらしさの溢れる作品だったのではないでしょうか。
作画は言うに及ばず、構成も物語そのものも総じて高いクオリティが維持されていたと思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、ARCANA PROJECTさんによる「たゆたえ、七色」と「とめどない潮騒に僕たちは何を歌うだろうか」
エンディングテーマは、Mia REGINAさんによる「月海の揺り籠」と、相沢梨紗さんによる「新月のダ・カーポ」
2クール全24話の物語でした。
人の温かさがしっかり感じられる作品でした。
流石P.A.WORKSさんの作品だけのことはあります。
しっかり堪能させて頂きました。