たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「呪術廻戦」と一緒にどうぞ
劇場版「呪術廻戦」を見て、やたらと女性客が多くどういう系列のお客さんが来るのかと模索した結果、頭に挙がったのは
樹なつみ「八雲立つ」と本作 CLAMP原作「Xエックス」である。
呪術と同じく、東京を舞台にアーマゲドン(宗教的な最終戦争)が繰り広げられる点が共通しており、呪術は日本の仏教や道教的な世界観だが、Xは文字どうりキリスト教やイスラム教における最終戦争である。
なので、天使と悪魔がこの世の運命を担って争うという感じのストーリーなのだが、そこにヒロインや親友との確執や愛などが絡んでくるところが少女漫画である。
まあ、この作品も永井豪の「デビルマン」や、菊地秀行や夢枕獏などの当時の終末思想SFを描いていた作家の作品のリメイクみたいなものだが、ここに来て今の時代にこういった世紀末黙示録的な作品が流行るのはどういうことなのか考えると、
「失われた20年」という1990年代バブル崩壊から現在に至るまでまったく経済成長や雇用の安定がない日本社会を反映していると思われる。
要するに「成長のない世の中」ということだ。
「進撃の巨人」や「鬼滅の刃」「呪術廻戦」に共通しているのは、もはや正義も悪も混沌とした社会で生き延びるには、自分の所属する非常にミニマムな小集団(家族、友達、コミューン)に帰属しなければ生き残れないという不安である。
「ドラゴンボール」や「ワンピース」は明らかにバブル期からある「根アカ」な楽観的未来像が含まれているが、最近の少年漫画にはそういった要素がそもそもない。
なぜそんなにもこの国は暗く閉ざされた社会になってしまったのか。。
今一度考える機会かもしれません。