とろろ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:今観てる
ロマンは止められない
ロマン、ロボット、ドリル
人の生き死に、父と娘、親子の絆
主人公メメンプーの声優さんの天希かのんさんは初主演(たぶん)ながらも安定した演技で他の有名声優と一緒に聞いていても何ら遜色なく、自信満々なキャラクターがとても清々しく好演だと思う
序盤の情報量がとても多く、そこから展開される物語のワクワク感はすごかった
序盤だけでも見てもらいたい
ただ、掴みは面白くワクワク感はあるのだけど、冒険物アニメ「メイドインアビス」などと比較すると飛び出した先の世界のワクワク感は乏しいかもしれない
コアタワーに行きたくて旅に出たわけだけど、
未開の地を旅する、って感じではなくて、結局危険地帯を移動して街と街を移動しているだけなのがちょっとおしい
冒険だと思っているものが結局管理下にある場所を渡り歩いているだけのような感覚で、冒険感が薄い
ロストテクノロジーの遺物的なパーツも風の施設くらいしか出てこないし
カイジュウのバリエーションも最初のやつと小型のやつだけで少ないし
メイドインアビスは目的がハッキリしていたけど、メメンプーはなぜコアタワーに行きたいのかの目的がハッキリとしていないというのもある
夢で見て周りに話していただけだし理由として比較するとちょっと薄い
頻繁に同じ夢を見るからといってそこに行きたくなるものだろうか
どうして進みたいのか、進むために何を犠牲に、どれだけの覚悟でそこに向かいたいのか、そういったものの重みが違うなと感じる
勢いのある作品ではあるものの、それはメリットだけではなくデメリットもあって、話の脈絡やキャラクターの行動原理が理解できなかったり、プロットに合わせてキャラの意見、根本の信念がねじ曲がっているように感じることはある
誰かが話の関係上バカにならなければならなかったりするとその役割を特定のキャラが暴走してでも達成してしまう
ドリームコロニーの価値観はプロット上キャラクターが平坦でNPC感を感じた
これはキノの旅とか魔女の旅々とかでもあるように、ショート世界観だとよく感じる現象でもある
話をまとめようとして価値観を1つにまとめがち
プロットに寄せてキャラクターを捻じ曲げている感じが強い
ユーリの仲間になったコロニーの平等主義の表と裏もそう
話をわかりやすくするためにキャラクターの知能を下げている感じがする
それが悪い、ってわけではなく、そういった手法も必要だとは思うけど、最初に期待していた世界観と冒険ではないなって思う
冒険したのに価値観が元々過ごしていたコロニーの人間の方が多様性があって、外の世界の人間の方が頭が悪かったら、元々過ごしていたコロニーに住み続けていた方が新鮮さを保てるし良い環境とも言える
メメンプーとガガンバーが最初にいたコロニーは偏った価値観がそこまでなくてしっかりとキャラクター性が出ていたけど、旅で回ったコロニーは結構極端な場所が多いように感じて、どうにも自然さがないように感じられる
コロニーや管制局、しびと、エネルギーの供給ラインの老朽化、大崩壊、カイジュウなど設定的には理解できるんだけど、広い世界に飛び出したはずが狭い世界に収まってしまっているように感じる
それはちょっと残念だった
「メイドインアビス」とか「彼方のアストラ」のような冒険を期待していたんだけど、
あと似た印象を受けた作品としては「ブブキ・ブランキ」とかかな
ドリルといえば「グレンラガン」とか
冒険し始めたらすぐに逮捕されてしまったり、いざこざに巻き込まれたりで結局自分の意思で冒険させてもらっていないのがどうにも自由度が少ない
親と娘だから娘の冒険心を常に安全なルートを行こうとストップしてくる親の構図があるし
もっと自由に冒険したいなと思ったけど、
この作品で描きたいのは親子の関係みたいなものなんだろう
タワーに行く理由が薄かったのもあって、夢が理想から悪夢に変わった時になぜそれでもタワーに向かおうと思うのかあまり納得はできないし、
娘を人質にとられたり本気で殺し合った後に平気で旅を一緒にするのも納得できない人もいると思う
ガガンバーは娘に手を出すやつは嫌いという主義があるはずだけど、負い目があるとはいえザクレットゥと共に行動できるものだろうか
キャラの行動原理、妥協点とか沸点がやや突飛なものに見える場面は多い
そもそも一緒に旅してたのにどうしてわざわざ人質にとったり、ブチギレて殺し合ったりしてるのかもよくわからない
個人的には勢いで見れたからいいんじゃねって思ったけど、こうしてレビューを書く段階になって冷静に考えるとよく一緒に旅してるなと思った
今期で1番ワクワクしたから十分満足してるけど、
もっと外に出てからのワクワク感が継続したら神作品だったのになー
序盤はほんとに面白かった
酷評も目立つけど、序盤だけでも楽しませてくれたから一つも楽しみがなかった作品と比較すれば十分に良い作品といえる