まつまつ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
絵を描いてみたいなと思わせてくれた作品
不良であり優等生でもある主人公の矢口八虎が同じ高校美術部員の一枚の絵に魅了され、絵画の世界にのめり込み難関の東京芸大合格を目指す。
原作未読。
最初にこの作品を知ったのはYOASOBIの群青という曲がきっかけだった。
とても良い歌詞だと思って調べたらブルーピリオドが元ネタだと知って、
アニメ化もされるとの事で期待して視聴。
八虎が2年生から美術部に入部し努力の結果芸大に合格する展開は何浪もしている生徒がいる中出来すぎだろうとも思ったが、才能、努力、運があれば始める時期はさほど関係ないのかも知れないと納得。
八虎や彼の通う美術予備校生達を中心に美大を目指すプレッシャーや葛藤が上手く描かれていて話に惹き込まれた。
八虎は絵を始める前は一見、リア充に見える生活を送っているが、内心は目標も何もなくただ何となく生きていて友人にもあまり本心は見せず当たり障りのない対応をする空虚な人生を送っていた。
こんな悩み抱えている人って自分もそういう部分があるし結構いるんだろうなと共感出来る部分もあった。
また同じ予備校に通う世田介は絵の才能はずば抜けているが、友達もいなくコミュニケーションを取るのが苦手でリア充に見える八虎を妬ましく思っている部分があり、これもこれで共感出来る。
そして最も特徴的なのは八虎の同級生の龍二。
トランスジェンダーな男子で八虎を絵の世界に惹き込んだ人物。
家庭問題や性の問題など深堀りしている場面もあったが、
最後八虎にセルフヌードを描かせるための伏線だったのかな。
この後どうなるのか分からないが、もう少し良い結末に持って行って欲しかった。
美術部顧問の佐伯先生もなかなか生徒たちの導き方が魅力的な先生で良かった。
声優陣もキャラクターの感情表現がとても上手く出来ていたと思う。
美術の世界に限らず、凡人がいくら努力をしても才能のある人間が同じ位努力をしていたら凡人は絶望に近い感覚を覚えてしまうだろう。
プロを目指さなくても部活等をしていると才能の差を感じてしまう事は誰しもある事。
そう考えると学生生活って厳しい現実をまざまざと突き付けれらる場所だなと遠い過去を振り返ってしまった。
ただ、美術は才能や上手さだけでは無く、観る人がどう感じるかという部分も大きく、八虎より実力のある同じ予備校の桑名が不合格になるというのも一筋縄ではいかない世界だなと思わされた。
自分は美術の事も良く分からないし絵もあまり鑑賞しない。
子どもの頃はイラストとかを描いていたが、中学に上がり美術の成績が常に2か3だったのでセンス無いなと思い、殆ど絵を描く機会も無くなってしまった。
ただ、この作品を観て絵には上手い下手が無く、観る人がどう感じるかなんだよなと思って久々に絵を描いてみた。
完成して観ると上手くは無いけど悪くはないなと思った。
これは描き続けるともう少し上手くなるかもしれないと、嫌いになっていた絵を描く事に再び興味を持つきっかけを与えてくれた作品になった。
原作は芸大入学後も続いているようなので2期期待したい。