Dave さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
さよならは哀しい。でも、出会わなければよかったなんていうことはない。
「花咲くいろは」好きの私としては岡田磨里さん監督作品と聞いていつかは見たいと思っていたのですが、BSで放送してたのを録画できました。ところが最初は「ながら視」をしてしまって、なんだか世界観にはまれずに…だらだら見続けること2時間、終盤になってやっぱりこれはいいかも?と思い視聴し直してよかったです。きちんと見れば、きちんといい作品だと思います。
端的に言えば、もし家族の一人だけ不老不死だったら?という話ですね。ふつうは子供の成長と共に母も老いて、いつかは衰えて死んでいくわけですが、母だけがエルフでいつまでも少女のままだったら…。
人は誰だって最初はか弱い存在で、未熟ながら成長して、いろんなことを経験しながら大人になって、少しづつ老いてそしていつかこの世を去っていく。太古の時代からいつまでも若くいたい、いつまでも生きていたいと思うのは人間の敵わぬ願望でした。しかし本当にそれは幸せなんだろうか、と脚本家の岡田磨里は問います。確かに死んで別れるのは悲しいことだけれど、伝説の薬やら魔法やらで永く生きられたとしたら、自分だけが取り残されていくという「独りぼっち」をずっと味わうことになるのではないか。
なによりもこの作品で心を打つのは母の愛。流れゆく時間の中で、人も変わるし、それを取り巻く状況も人間関係も変化する。しかし、そこにもし変わらぬものがあったとしたら・・・岡田監督なりの答えがこの作品に描かれています。すごく形は違うけれど、岡田磨里さんが描く作品の根底には恋愛としての愛よりも、こうした家族愛が共通して描かれている気がしますね。
人間が不老不死になることは今のところ不可能ですが、ふとペットと人間の関係を想いました。実は今年、私も2匹の愛猫を立てつづけに亡くしまして。彼女たちが赤ちゃんの頃から育てて18年半、その間に仔猫から成猫、そして老猫へと成長して、最後はすっかり細くなって寿命を全うしました。確かにその間、わたしたち家族も年を取ったし、子どもも生まれましたが、人生の速度が違うということはなかなか残酷なことです。
「大丈夫、ぜったいにわすれないから。」
どんな姿になっても、いつまでも親の愛は変わらない。
血が繋がっていなくても、親子の絆は変わらない。