nyaro さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
軽い雰囲気に重いテーマ。ハードSFだけど面白い。風変りなアニメです。
1996年とアフターエヴァですが、独自性がちゃんとあるし、エンタメとして面白い、世界系でないアニメを良く作ったと思います。恋愛もありますが、物語はちゃんと本筋があって、結末に理屈が通っています。
軽い雰囲気で始まります。茶化したような演出で1、2話だけで切りたくなる人もいるかもしれませんが、テーマは重くSF的にもなかなかハードです。キャラ達のバカ騒ぎに対して根底に流れる暗い感じが印象的です。そして後半になると更に別物になってきます。
SF的にはボゾンジャンプというキモになる設定が若干荒唐無稽ですが、そのジャンプの設定の周辺の科学的な前提と因果関係が練られています。したがってちゃんとハードSFの範疇にいれて良いと思います。
SF設定は見事です。軍と軍需産業の関係、宇宙パイロットの人体改造や遺伝子操作、グラビティブラストなどの兵器などです。見ると分かると思いますが、SF好きの嗅覚だといろんな裏設定があるのが、透けて見えてくるようなワクワク感があります。
サブヒロイン、ホシノルリがオモイカネというAIとまるで心を通わせているかのように電子的に無敵になるところなど、現代のヒロイン像を先取りしていました。
ナデシコの造形もいいし、エステバリスのエネルギーの問題など面白い設定でした。ただ、一応ロボットアニメではありますが、ロボットの戦闘それ自体はエンタメ性がかなり低いところが面白いところです。
用語を使い散らかしているような感じが、ちょっとスノッブだったですかね。
本作の見どころは、舞台設定そのものの種明かしですね。これによって本作のテーマ性の深さが浮き彫りになります。
{netabare} 敵は異星人などの未知の文明かと思っていたら人間だったという点でまず大逆転がありました。
また、ゲキガンガー3という劇中アニメを使って、勧善懲悪の視点の怖さを描いていました。
主人公のアキトの過去のトラウマをめぐるストーリーがあり、これはSF設定としての驚きになります。
その他サブのエピソードになりますが、18話のホシノルリ回が非常に面白かったです。
{/netabare}
キャラ達のヒューマンドラマが物語に絡んでしっかり描かれていますし、軍需産業や軍のドライさみたいなところも良かったと思います。
不思議なことにヒロインのミスマルユリカに不思議なほど魅力がないのはなぜんなんでしょう?女性キャラは皆魅力的なのに。
ということで1996年。エヴァの進化系統から外れた名作だと思います。そして、この後の劇場版で衝撃が…。