二足歩行したくない さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
OK, Lets's jam!
2071年の太陽系を舞台にしたSFアニメ。星雲賞受賞作品です。
本作内では人類は太陽系まで生活圏を広げており、火星を始めとする居住可能な惑星はテラフォーミングして都市が作られ、人々が生活しているという設定です。
一方で、過去の大事故により長い無政府状態が続いた時代があったことを起因として治安が悪化しています。
警察の手が届かない犯罪者を取り締まるため、政府は犯罪者に賞金を掛け、一般人にも犯罪者を拘束する制度を制定します。
主人公の「スパイク・スピーゲル」と「ジェット・ブラック」も、そういった時代の賞金稼ぎで、古い漁船を改造したオンボロ宇宙船『ビバップ号』に乗り宇宙をかけるスペース・カウボーイ稼業を営む日々が描かれています。
1998年に静かなブームになった作品で、中二病 (なんて言葉当時はなかったように思いますが) 香ばしい、全身黒で揃えた服装のメガネの若者はみんな本作を見てアウトローな生き方に憧憬を抱いていました。
思えば、2000年前後は、課長王子だったりNOIRだったり、こういう雰囲気の作品が好まれる傾向にあったなぁと。
本作は海外受けも良く、海外で実写企画が進行中との話は当時からあったのですが、2021年11月 ネトフリで本作の実写ドラマが配信されたので、ドラマ視聴前に20年以上ぶりに見返してみました。
全26話で、基本的に一話完結型となります。
毎話裏事情を抱えたターゲットや、スパイクやジェットの過去に関するストーリー、奔放な美女の賞金稼ぎ「フェイ・ヴァレンタイン」、天才ハッカー少女「エド」、犬の「アイン」などと騒動を巻き起こす展開です。
毎話ジャズやブルース、メタルやバラードなど、ジャンルバラバラな音楽が効果的に使われていて、内容もハードボイルドだったりシリアスだったり、かと思えばドタバタギャグだったりします。
普段の姿はだらしないがいざといときはめっぽう強いお兄さんと、筋肉質なメカニックが、ジャジーな音楽と共に宇宙を駆け回るだけで満足な方にはうってつけの作品で、一般受けしない雰囲気がニッチを好む俺たちの心を鷲掴みする名作です。
古い作品ですが作画はしっかりしていて、今でも十分楽しめると思います。
ただ、私的な感想には思い出補正がかかっているので、公共施設の屋内喫煙が原則禁煙となってしまっているほど禁煙が当然になってしまった現代人が本作を見て楽しめるかというと微妙なところです。
ある一定年齢以上のアニメ見ている方には懐かしの作品ですが、そういった思い入れがあるわけでもない方向けの作品ではないと思います。
古いレコードを探すように、こういう雰囲気の作品が好きな方がたどり着いた際には視聴をおすすめできる作品です。