「ハイスコアガール(TVアニメ動画)」

総合得点
87.3
感想・評価
799
棚に入れた
3338
ランキング
164
★★★★☆ 4.0 (799)
物語
4.1
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
4.2

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

コンティニューできない青春、コンティニューしたい恋

WARNING!
BE CAREFUL! → ネタバレ
※この後、ネタバレ感想文なのでご注意ください。
※上記はGダライアスの有名テロップの借用でピンときた方は私と話合うかも…。


主な登場人物は、主人公の矢口、ヒロイン大野ともう一人のヒロイン日高の3人。
そう、この作品は、ダブルヒロインです。
だいたいダブルヒロインの作品は、どう転んでもどこかで切なさが残ります。
それは、最終的に主人公は二人を選べないからです。
しかも、この手の物語は、ほとんどが出来レース。
あの花、あの夏、トラどら、俺ガイル、サクラダリセット等々…。
何度サブヒロインが泣いてきたところを見てきたことか。
自分が好きになった男の子が他の女の子のことを好きなんですよ。
しかも、その二人の間には他の人が割って入れない何か特別なものがあるんですよ。
やる前から勝負は見えているじゃないですか。
それでも、大好きなんだから仕方ないんです。
望んでも手に入らない恋かもしれません。
でも、望まなければ絶対手に入らない恋なんです。
だからサブヒロインは前に進むしか道がないんです。
こんな切ないことありますか?
この三角形の重心が2人の間にしかない三角関係をどう綺麗にまとめるか。
脚本の見せどころですね。
ちなみに私は、こう言う話はとても好きなのですが・・・。


ヒロイン大野の気持ちは、ED曲「放課後ディストラクション」に込められています。
大野は、家庭の厳しい教育方針に息苦しくなっていました。
そして、放課後にゲーセンでディストラクション(気晴らし)をしていたのです。
でも、それは、あくまでも「気晴らし」にしか過ぎませんでした。
きっと満たされなかった毎日だったのでしょう。

♪「10カウントで終わる
  世界はモノクロだった」

しかし、主人公矢口との"出会い"で大野の世界は変わっていったのです。初恋です。

♪「10カウントで終わる
  はずだった
  世界が色づく
  エンカウントで
  コンティニュー
  小さな革命だった」

その後、3話目では、月9ドラマの最終回のような展開がまっています。
しかし、月9と違って願いはかなわず、二人は離れ離れになってしまうのです。
私も思わず涙してしまいました。


主人公の矢口は、ぱっと見ゲームバカです。
しかし、意外と人生に対して自分なりの答えを持っていてブレることはありません。
こう言う男子は、やはりモテます。
そんな矢口に対して、もう一人のヒロイン日高は、片想いをします。
日高のセリフは、そんな乙女心をこれでもかって分かりやすく教えてくれました。
「己の世界に真っすぐな矢口君に惹かれちゃっている。
 常に何を観ているのかわかる人って安心できる。」
モテる男子には憧れだけではなく、その根底には「安心感」があったのですね。


この作品が上手いところは、対照的な二人のヒロインの描き方です。
大野には、3話目にして、すごく感情移入させられます。
もう何とかしてあげたいと思わされるほど絶対的なヒロイン感が漂います。
しかし、それも日高が登場する束の間だけです。
日高もひたすら素直で健気なので応援したくなってしまうヒロインなのです。
視聴者は、この二人が揃った時点ではどちらか一方を選べなくなってしまうのです。

しかし、矢口は、違いました。
日高に対しその気が無いことを無意識に突き付けてしまうのです。
日高の乙女心は深い傷を負いこのままでは救われないヒロインになるところでした。
しかし、ゲームの勝負と言う形で自分の気持ちを思いっきり矢口にぶつけます。
悔いが残らない告白の落としどころをこの作品らしい脚本で見せてくれたのです。


一方、ヒロイン大野は安泰なのかと言うとそうではありません。
大野は、無口の性格柄、なかなか矢口に自分の気持ちが伝わりません。
{netabare}
車の後部座席で大野は、矢口から、同じ高校を受験することを告げられます。
それを聞いた大野は、シートの上の矢口の手を握りました。
無口な大野は、自分の想いを口にすることなく、そっと矢口に伝えたのです。
大野なりの告白でした。
しかし、矢口は、その手を握り返しませんでした。
矢口は、今まで自分が持ったことがなかった感情に戸惑っていたのでしょう。
つまり、一緒にいたいと言うこの気持ちが恋だとはまだ気づいていなかったのです。

矢口が受験に失敗し、二人は離れ離れになりますが気持ちは燻っています。
その後、二人は再会しますが、またしても事情により会えなくなってしまうのです。
会える最後の日に二人は縁日に出かけますが、手は繋ぎませんでした。
むしろ繋げなかったというのが正解かもしれません。
大野は、前を歩く矢口の服の裾をつまんで後ろを歩くだけでした。
女の子が大好きな男の子とこうやって歩く時の心境って・・・。
この一歩踏み込めなさがとても切ないです。

時が経ちあるきっかけで二人はゲームショーに行くことになり電車に乗ります。
その電車が大きく揺れたとき、大野は、再び矢口の手を握ったのです。
そして、矢口も初めてその手をぎゅっと握り返したのです。
その時、お互い無言でしたが何かを確かめ合うことができたのだと思います。
{/netabare}
やっと大野の気持ちは本当の意味で伝わったのでした。


青春は、続けたくても、ずっとは続けられません。今しかありません。
そんな中、少年少女たちは、自分の恋に一生懸命です。
大野は、何度も何度も好きな人と離れ離れになります。
日高は、好きな人が自分に気持ちが無いことを分かっています。
それでも、二人はそれぞれ自分の信じた恋を続けたかったのです。
この物語は、コンティニューできない青春のコンティニューしたい恋のお話でした。

恋愛は、ゲームと違って、必勝法もなければ裏技もコンボも効きません。
現実は、ゲームのように上手くいかないことを少年少女たちは学んでいくのです。
そんな大人になっていく姿がとても微笑ましい作品でした。面白かったです。

投稿 : 2021/11/19
閲覧 : 324
サンキュー:

30

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