おこじょ さんの感想・評価
2.7
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 1.0
状態:今観てる
原作の良いところを全て台無しにしているアニメ
原作全巻読了済みです。その上での感想はただ一言『原作とアニメで主人公の印象が180度違う』
まず、アニメ版では「前世の記憶を持って生まれ変わったぞ!元ひきこもりだけど、今度こそ成功してやる!」
といったニュアンスで修行に励むウィルですが、これが既に間違い。『最果てのパラディン』という作品の本質を見誤っています。
原作では主人公ウィルの『心の成長』を主軸に物語が展開します。
{netabare}前世ではとある事件がきっかけで引きこもり、支えてくれていた周囲の人間に迷惑だけを掛けて、なにも恩返しできず死んだことがトラウマとなっており、それが原因で今世では「とにかく立派な人間にならねば」という強迫観念からブラッド・マリー・ガスの3人に教えを乞います。
なまじ前世の記憶がある分、要領良く物事を覚えるウィルを3人は褒めてくれますが、逆にそれが負い目となり、秘密を打ち明けることができず、更に3人も自分に隠し事があるような雰囲気。
「隠し事があるのは自分だけではない、お互い様だ」と話し合うことを避けて何も知らない子供のままでいたウィル。問題を先延ばしにした結果、不死神スタグネイトという、自分ではどうにもできない『災害』を前にしてようやく過ちに気付きます。
自分には前世の記憶があり、皆が思うような立派な人間ではないこと。生きながら死んでいたトラウマ。
全てを打ち明け、それでも家族として受け入れてくれた3人を守るために、前世で深い後悔に苛まれ傷ついていた魂を掬い上げて、 2度目の生を与えてくれた生々流転の神グレイスフィールの恩に報いるために、ウィルは立派に生きることを決意する。{/netabare}
これが本来のストーリーです。
アニメ制作会社は世界観や舞台設定を主人公ウィルに説明させるよりも内面描写に力を入れて取り組むべきだったと思います。
あと視聴者ウケを狙ったのかは知りませんが、主人公ウィルのキャラデザと声優の演技が女々しすぎます。せめて3話の成人の儀。このタイミングで声変わりと容姿の変更を年齢と訓練した青年という設定に準拠したものにすべきでした。
制作会社はハズレ。原作は良作です。