「サクガン(TVアニメ動画)」

総合得点
62.9
感想・評価
202
棚に入れた
539
ランキング
4657
★★★★☆ 3.1 (202)
物語
2.8
作画
3.3
声優
3.2
音楽
3.2
キャラ
3.0

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ネタバレ

螺旋常連からくり剣豪 さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

良作画SF版ジビエート。たんもしにすら劣る駄作

気になる点があったので加筆しました。

先に総評するとくだらない脇道にそれ過ぎた結果、さまざまな要素がとっ散らかって破綻した駄作です。キービジュアルは詐欺と言ってもいいくらい本筋との関係性は希薄。
この作品自らがロボものとは言ってますがロボものではなく、実態は各地のコロニーを転々して問題を解決していくロードムービーです。
しかし、そうした見方をしても各エピソードのまとめ方が杜撰でカタルシスは無く、伏線も張りっぱなしで回収はされず、謎だけが増えていきます。最低限の世界観の説明は10話になってようやく。それでも細かいところには一向に触れられず、この世界の核心に迫っている感は皆無です。

とにかく問題点だらけです。多いので箇条書きにします。

・メメンプー
基本ただ騒ぐだけでまるで成長しない。自分の意見をわがままで押し通そうとし、よく衝突するガガンバーだけでなく苛立ちが極まると周りの意見すら聞かないこともしばしばある。これは7話が顕著。無職のルーデウスみたいに対人関係の不慣れから同じ過ちを繰り返すのではなく、そうした描写すら全く無いので不気味でしかない。クライマックスに差し掛かった11話でさえ他人に自分の思想を押し付ける利己的な性格は変わらない。ガガンバーに咎められる描写はあるものの、他のキャラクターがこぞってガガンバーの意見を封じてくることが多く、実質メアリー・スーと変わらないようになっている。

・ガガンバー
三枚目とかではなくただのクズなのが大問題。カッコいい部分はほぼ無く、メメンプーに言い負かされる情けない側面が目立つ。ザクレットゥを置いてけぼりにするなど、あまりにクズ過ぎるバックボーンがあるのが理由で、基本おまいう状態になってしまっていてわがままなメメンプーの抑止力に全くなっていない。こちらもまるで成長しない。

・ユーリ
旅の中でハッカー設定がほとんど活かせていないので仲間になってからずっと空気であるのと同時に、そのハッカー設定が矛盾を生んでいる。ハッキングは他の勢力との駆け引きなど、さまざまな用途で使えそうなのに、なぜ市長に重用されていないのか謎。6話時点では努力さえもしていないで腐っているので普通に共感し難い。

・ザクレットゥ
悪女的な側面や8話で明かされた設定をまるで活かせていない。8話で正体を明かしてガガンバーを殺そうとするが、そこら辺の心理描写の変遷がかなり不自然。事情があるとはいえ、メメンプーを無理に持ち上げてくるので感情移入が難しい。こちらもユーリと同じで終盤はほぼ活躍せず空気。

・世界観
10話まで明かされない上、そこで明かされたものが他のアニメや漫画で言う序盤レベルの情報量なのでかなり薄い。メイドインアビスの方が序盤の段階で余程奥深く分かりやすいレベルで、このサクガンには斬新さすら無い。メローロによる口頭での説明もあって薄いのに頭に入って来ない。ロボットやカイジュウは基本空気。シビトの活躍もクライマックスにもかかわらずメメンプーをやたら目の敵にしているのと、コロニーの破壊活動をする以外には明かされていない。

・ストーリー
矛盾や違和感が多く、エピソードによっては早足過ぎて描写が全く足りていない。テーマ的に要らない話もかなり多く、6話、11話が最たるもの。各エピソードは基本コロニーでの薄いゴタゴタばかりで冒険感もかなり薄い。


以下、見て実際に感じたことをまとめてあります。

1、2、3話は良いと思いましたけど、4話からがマジでテンポ悪い。世界の謎を解き明かす感じの冒険活劇なのに6話までもつれこむコロニー編が長過ぎだし、キャラクターの掘り下げやエピソードの整理も下手。なぜかロボも出ないから結果スタイリッシュさやアクションがしょぼい劣化ルパンになっています。
三枚目だとしても、基本メメンプーに良いように言われているだけのダサいガガンバーにルパンみたいなカッコいい魅力を出すのは絶対無理だし、ザクレットゥに一方的にあしらわれている時点でルパンと不二子の一言では語れない複雑かつ面白い関係と比べてどうようもなく負けています。
最初こそメイドインアビスみたいな広大な冒険を予感していましたが、それはどこへやら。
ロボものでロボほったらかしにしてまでやるコロニーのいざこざなんかどうでもいいから、世界観を活かしたスケールのでかい冒険劇をしっかりと描いて欲しい。

4、5話なんて話自体薄いし、なんといっても新キャラであるザクレットゥに魅力が無い。ルパン三世の峰不二子に似ているとどこかで聞きましたが、キャラの魅力は雲泥の差です。

キャラに魅力無いわ、ストーリーも雑になってきたわ。これはとんでもない竜頭蛇尾になりそうな予感……

今期が豊作と言っても、良作は一部を除いてみんな安定感を求めた結果か、既視感ある設定で固めた攻めっ気も無い真面目なシリアス作品、後は面白そうに見せかけた竜頭蛇尾、普通にどうしようもなくつまらない作品の三極化で個人的にはあまり華が無いんですよね。

この作品は設定から脚本まで既視感の塊、かつテンポも悪いのでかなり微妙な部類に入ってきました。

多少駄作に足を突っ込んでいても、もっと設定やストーリーで深く切り込んだ作品を観てみたいものです。最近よくある、淡々と良作のポイントを押さえただけの作品ばかり見るのも疲れるので。

6話視聴
舞台変えたとはいえ、まだコロニー編やるんかい!

もはやSF無関係の社会風刺がテーマになってるし。
悪逆非道を尽くす政治家が才能の無い人間を排斥してますよ、レジスタンスの俺たちも過去に酷い目に遭ってる。俺たちはこんな世の中許さない!反撃じゃい!あんな奴引き摺り下ろしてやるんじゃい!いや、これやっぱSF関係ないですよね。ここまでロボットなんて完全に脇役ですよ!

なんやこれ……こんな短い尺でガンダムシリーズみたいな社会風刺とSFの高度な合わせ技なんてできないのに、無理に背伸びして大失敗してますね。

今も燻る現実的な問題を扱うにしては1話で畳んだせいで心理描写も拙く、結果ユーリの描写が全然できてないので、ただただ理不尽を嘆くだけの餓鬼にしか見えなくなっています。
ユーリたちを義賊として描くにしても、そうした活躍をほとんど描いてないせいで地下で愚痴りながら腐ってる暗愚な連中になっているだけ。
ザクレットゥはガガンバーから金を巻き上げようとするだけの単なるクズに成り下がってる。
天才設定のメメンプーはさらにアホに描かれてる。同年代と比べて明らかに達観しているのに、都合の良い場面では人格面が不自然に子供過ぎるし、こんなんで博士号取れるんですかね。

なんかどんどんやばくなっていってますね。

7話視聴
ギャグの成り損ないなAパートの花の話は完全に蛇足。気の狂いそうな展開のせいで作画の良さがかえって作品をつまらなくしてる。
メメンプーの夢のきっかけは別にあんな狂ったのじゃなくても他にいくらでもまともなのが作れるので完全に不要でしょう。さらにそこからのBパートから始まった親子喧嘩の落差が凄まじい。花の毒のせいであんなラリったキャラクターたちのギャグ()映像集から派生する、いきなりのど真面目なシリアスとか誰得なんでしょうか。悪い意味で斬新でした。
メメンプーの夢で示唆される伏線のばら撒きを重視した回と考えれば完全に雑な6話よりマシですが、話としては花の話が最後まで足を引っ張っていてやはりつまらないです。
そもそもの話、落差が凄過ぎてシリアスパートに気持ちがついていきませんでした。

この作品の最大の問題点として、まずメメンプー、ガガンバーのバディとして、さらに個人としての成長、心の移り変わりが1クールアニメにもかかわらず7話になってもまるで無いこと。互いに認め合うような描写がほぼ無く、一番そういう描写を入れられそうな3話でもずっと喧嘩してる。この点においては1話から感じていた違和感が7話辺りで顕在化しています。
互いを認め、時に衝突する。そうした信頼の起伏がバディものの醍醐味なのにそんな描写が皆無。
そのせいかガガンバーがずっと情けなく、メメンプーが自分勝手な単なるアホにしか見えず、魅力に欠けます。

まさかあのテスラノート未満になるとは……

8話視聴
7話と繋がっているようでそこまで繋がっていない内容。
しかもまたコロニー編⁉︎もはや笑うしかありません。
話としてはガガンバーの相棒、ルーファスの妹だと判明したザクレットゥことザックがメメンプーを人質に取り、兄を見殺しにした復讐としてガガンバーを殺そうとするといった流れ。
これまでザクレットゥがガガンバーたちを追跡していたことについての伏線が回収されましたが、SF要素は変わらず無いし、ヒューマンドラマとしても中途半端な内容でした。
ザクレットゥとガガンバーの因縁にピリオドを打つには、ルーファスの死について掘り下げる必要があったのですが、そこにはほぼ触れられず。そのせいでルーファスのことが何一つ分からないのにザクレットゥがガガンバーを許す流れになってるのが分かりませんでした。
ザクレットゥ視点ではガガンバーが明らかに悪として描かれていたし、全部有耶無耶にして許すのは心理として不自然過ぎる。ザクレットゥの記憶はガガンバーの提案に乗ったルーファスが結果死んだと一度結論を出しています。その上でガガンバーはザクレットゥを置き去りにして逃げた最低野郎ですよ。まあ殺すのは確実に間違っているにしても、ザクレットゥが自分を間接的にでもあんな目に遭わせた相手に簡単に気を許すのは本気で理解できない。殺したい程憎んでいたはずなのに。
しかも逆に自分が悪いみたいな考えに至るのも謎。見た感じで読み取れるであろう、傷ついた父に寄り添うメメンプーに絆されたという理由ならあっさりし過ぎだし、そこら辺はもっと明確に描写してくれないと、彼女の兄への想いが軽く見えてしまいます。
悪い意味で非論理的に話を作っているのが何よりも酷い。多少の設定の粗なら良いとして、ストーリーを奥深くするはずの心理描写まで雑にされるのは許容範囲外です。

多分先の展開を盛り上げるために謎を出し渋っているのでしょうが、この8話はそうした傾向が裏目に出ていて、結果全体的に雑で違和感も多い。
また、ザクレットゥとガガンバーの記憶に齟齬があるということについて、何らかの伏線があるみたいですが、一回腹を割って話し合うべき二人のやり取りを無理やりにでも描写しないで張っており、互いを改めて知ろうとしないまま再び一緒に旅をする流れになっています。キャラクターが脚本に操られているようで極めて不自然でした。

壮大な冒険ものの皮を被っておいて、本当はスカッともしないクズの更生物語でした、なんて望んでないんだよなぁ……ロボもカイジュウもどこ行ったの……

9話視聴

虚無

水着回かつ果実の酸を電気に変えてロボを充電!以上!

目ぼしい展開としては屍人によってダンジョンの大崩壊が起こり、メメンプー一向が間接的に巻き込まれ、漂流したくらいなものです。

メメンプーとガガンバーのお気持ち表明もありましたが、今までの話の質が悪いので話としてはマジで虚無。この話自体に特に悪いところは無いですが、基盤となる7、8話がつまらないからそのツケが回ってきた形です。

10話
この話も特に目立った問題点は無しと言いたいところですが、メローロが半端に手を貸してくるからただでさえしょぼい冒険感がさらに薄れました。擁護派曰くこのアニメはロボットものではなくロードムービーらしいですけど、それにしても水で薄めたカルピスみたいな薄さです。
また、メローロの映画による世界観説明がありましたが、今更すぎる上に他の方が言っているように本来ならセリフではなく冒険で魅せるべき箇所でした。最低レベルの6〜8話は要らないから代わりにもっとそういうシーンを尺に入れるべきではないでしょうか……
そして突如生えてきたニジノコやプリンセスといった新設定。クソアニメによくある使い捨ての雑な設定でしょうか。今後の動向に注目したいところです。

11話
歌姫として有名になる代償で夢を諦め、歌姫という立場に縛られ自由を無くしたシーナがガガンバー、メメンプーを巻き込み、自由を謳歌しようとする話です。
まずガガンバー、メメンプーが屍人の濡れ衣を着せられ、シーナを拐った誘拐犯として追われる展開がツッコミどころ満載。ガガンバー、メメンプーはこの時点でコロニーを荒らす問題児として世間に名を広めてしまったようですが、前回の10話においてメローロがガガンバー、メメンプー、ユーリ、ザクレットゥの犯罪歴を全て改竄したことが描かれています。メローロのデータへの働きかけがしっかりできていると仮定すると、ガガンバーたちに着せられた濡れ衣はかかりようがないので、追われている展開との間に矛盾が生じます。この矛盾を解消するにはメローロがガガンバーたちの情報を漏洩させる無能であるか、あるいはコロニーの情報網がメローロの情報改竄をすり抜けるほどに有能だと考える必要があり、こうなると古代文明の復興へ向けて出した成果において分かる彼の有能さとの間に新たな矛盾が生じることになります。コロニー有能説もラストで屍人の侵入を簡単に許している時点で矛盾して成立しないし、どう転んでも矛盾が生まれる袋小路に迷い込んでいます。
メメンプーの将来の夢に対する価値観にも疑問。それは違うと言って自分の価値観をシーナやドリームコロニーの子供たちに押し付けようとしますが、メメンプー自体、もはや白亜の塔を目指すのは夢に出て来るガガンバーが死んでしまう夢の真相を確かめるための義務となっているし、今ではガガンバーと和解してはいるものの、この考え方はここまでを見る限り改めてはいません。メメンプーがワーカーを辞めてマーカーになったのも目的を果たすための通過点に過ぎない。そんな彼女がシーナたちに夢がどうこう言うのはなんか違うと思っています。

11話単品ではそれなりに考えさせられる要素はありますが、サクガンという作品全体で考えると他のエピソードへの繋がりが屍人関連以外では無く、テーマとしての一貫性を欠いていて褒められた出来ではありません。

とはいえ、伝えたいことがあまりにしょぼい。大して足掻いてもないのに未練がましく遊び歩いた末にわたしたちはどう足掻いても無力です、夢を諦めるしかありませんとか、どう共感しろと?
11話にもなって需要もへったくれも無い、こんな夢も希望も無いストーリーを持って来ることにはある意味感心します。

それに、これまで他のキャラクターを使ってまで全肯定するようにメメンプーを持ち上げてきたのに、急にガガンバーの消極的な考え方に傾くようにストーリーが屈折してメメンプーを否定しにきたのもかなり不可解。現状、この流れになったことに特に意味は無く、脚本のすり合わせすら制作が満足にできていない証左ではないでしょうか。

12話

一言言います。

舐めてますよね?

5話の伏線や10話でシビトから出ていたニジノコが何なのかが、メメンプーとガガンバーの真の関係性について明かされましたが、5話の件は割とどうでも良くて、ニジノコの話はほとんどセリフによる説明で頭に入ってこない。要するにニジノコは世界の癌になるから排除するってのがシビトの目的らしいです。
で、急に饒舌で感情的になったガガンバーとボスの一騎打ち、そこからガガンバーからメメンプーへのお気持ち表明。さらになんか分からないけどボスから見逃してもらう謎展開。最後にとってつけたドタバタ劇で幕を閉じます。不自然な長台詞とかボスに見逃してもらうのがマジで意味分からなくて終始苦笑いしてました。

ぶっちゃけ投げっぱなしエンドで放置された伏線も多いです。

話がとっ散らかり過ぎてなおかつスッキリしない終わり方でした。2期あったら一応見ますけど、どの道これが駄作なのは変わらないでしょう。

投稿 : 2021/12/24
閲覧 : 649
サンキュー:

8

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