saitama さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
押井守のやりたいことを当時最高のアニメ技術で作った作品
dアニメで本当に久しぶりに視聴。
物語の本質としては、ロボットAIが自己を持ったとき、果たして電脳化された世界の人間とロボットAIに違いはあるのか?
事実上脳以外はサイボーグ化するのが当たり前になっている攻殻機動隊の世界ではなおさら…。あえて言えば、押井守版ブレードランナー。
2021年、ネットにあらゆる情報が流れ、ターゲティング広告やプライバシーへの規制が始まっている現代こそ、すんなりと、このイノセンスの世界観がある種の恐怖も含めて理解できる…。
正直、2004年の頃は、絵空事感がまだまだあった。でも、今見ると、当時よりずっと現実感を感じる。この先、間違いなくこれに似た世界はやってくるのではないか…という感覚。それは2004年の頃より確実に強く感じる。
その意味において、押井守より、原作者である士郎正宗は本当にすごい…。この作品が成り立つのも攻殻機動隊の世界観があるからこそ。
で、肝心の脚本も書いた押井守監督だけれども、あー、押井ワールドを当時のアニメ技術つぎ込んで作ったなぁ…という印象。それが先にも触れた、押井守版ブレードランナーをアニメで作ったという感じ。
ぶっちゃけ、物語としては、攻殻機動隊やパトレイバー、もっと言えばうる星やつらで何度も観た押井守の世界観というか、エッセンスを凝縮している。なので、押井守アニメをたくさん観た人には目新しさはない。いや、それでも素晴らしいのだけれども…。強いて言えば士郎正宗の原作ベースに作ったことで、重厚感が半端ない。そこが最大の追い風。
やはりこの作品の見どころは作画かな。作画と描写とアングルとカット割。これを観て、閃光のハサウェイを観ると…、おいおい、閃光のハサウェイはもっとやれること山程あったろ! と突っ込んでしまいたくなる。やはりプロダクションIGだけではなく、アニメーターが揃っているジブリが制作協力しているのは大きい。ジブリのスタッフで機械ものやロボをやれば、ここまで出来るんだぞってアピールしている。作画勉強のためだけに限ったとしても、いまのアニメーターが観るべき作品という感じ。
個人的には、物語としては、うる星やつら、マクロス、パトレイバー、カウボーイビバップほどの感動はないけれど、でも、間違いなく大作。そして傑作。海外ウケがすごいのも理解できる。
それにしても、なぜタイトルはイノセンス? 映画攻殻機動隊2で良かったじゃん、とはいまだ思う。
まあ、きっとその辺も色々あるんだろう。この手のことは上で余計な口出す馬鹿が大抵いるから。