蒼い✨️ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
自己啓発セミナー。
【概要】
アニメーション制作:STUDIO 4℃
2020年12月25日に公開された100分間の劇場版アニメ。
原作は、西野亮廣のプロデュースで33人の分業体制で作られた絵本。
製作総指揮・原作・脚本は、西野亮廣。 監督は、廣田裕介。
【あらすじ】
数多の煙突から出る厚い煙で空が覆われている『えんとつ町』
常にライトアップされていて、その様相は夜の繁華街のよう。
『えんとつ町』の住人は、空が青いことも夜空に輝く星も知らずに、
空を覆う煙の下の町の中で一生を終える。
ただ一人、煙突掃除屋の少年のルビッチだけは亡き父親が紙芝居で語っていた、
煙の外の世界があることを信じ続けていては皆から嘘つき呼ばわりされていた。
父が亡くなって一年後のハロウィンの夜、町に空から赤い塊が振ってきた。
ゴミ山に落ちた赤い塊は心臓となって、周りのゴミを集めてゴミ人間が生まれた。
ルビッチはゴミ人間と出会って紙芝居のキャラクターからプペルと名付けて、
のけもの同士で二人は友だちになる。
これは、その二人の感動の物語らしい…。
【感想】
何冊も自己啓発本を出している西野亮廣さんの文章そのままの物語。
・社会の仕組みは権力者の都合で作られている。
・オレはオレ。いつもありのままの自分でありたい。
・ルールに盲従するな!ルールが間違っていることもある。
・オレの思いを肯定しろ!認めないやつは既成概念の奴隷だ!
・古い常識に縛られて自分で考えないやつが、何かをしようとしている人間を笑うな!
・常識()を超えたところに、新しい道がある。
・自分を信じろ!夢をあきらめるな!思いは叶う!
青臭さと承認欲求のある筆者の上昇志向と反骨精神を、
少年の夢とロマン & ルビッチとプペルの友情(?)
で感動仕立てのストーリーにしたのが、この映画なのですね。
心に不満や燻っているものがあって、その思想に共感できる人には全力で刺さって、
理知的に出来ることと出来ないこと仕分けられる人には、
子供じみた説教臭さと押し付けがましさに苦笑い。
一見は子供向けの絵本という皮を被っていながらも、
ふわふわした理想や根拠で動いている自分を信じて応援してくれなきゃ許さないぞ!な、
自分の正しさを疑わず人の話に耳を傾けない独りよがりさと隣り合わせな内容ですので、
子供に見せる場合は、ルビッチの思いの物語を鵜呑みにさせるのではなくて、
理想を叶えるには夢を語るとかいった精神論だけじゃなくて、
明確なプロセスを持って地道な努力を重ねる、
口先だけじゃなくて自らの姿で説得をすることの大切さ。
世の中には色んな考え方と主張が存在しているので、
ちゃんと考えて取捨選択させる重要さを一緒に説かないと危なっかしいですね。
ともあれ、自分はこんなはずじゃなかったはずだ!と自信を失いかけてる人間が見ることで、
そんな自分を肯定して背中を押された気持ちで勇気をもらって心の隙間を埋める話として、
それなりに需要があるのかも知れませんね。
でも、やってることは露骨にアニメを利用した自己啓発セミナーですよね?
作品には、作者や監督の哲学や思想を強く爪痕として残すべし!という人もいますが、
これは一定の人間に対して単に耳障りの良いことを言っているだけですし、
何事も加減や説得力が必要かな?と思わないでもないですね。
制作作業は一定の評価のある、『STUDIO 4℃』に丸投げということで、
主人公の片割れのルビッチの前歯が無かったりと、
キャラデザは全く好みではないもののアニメーション自体は良かったと思います。
今回はディズニーを意識し過ぎなのと、
モーションが機械みたいなのが気になりましたけどね。
感情の物語ではところどころ泣かせる部分があるのですが、
主張の激しさに、西野亮廣さん個人に思うところがある人には、
彼の人格と重ねて言いたくなることが、いろいろとあるのだろうな?
と、それが理解が出来ないではない作品でした。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。