ぬるま湯 さんの感想・評価
1.8
物語 : 2.0
作画 : 1.0
声優 : 2.0
音楽 : 2.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
作画がひどい。終盤になるにつれて不自然なCGが目に付き冷める。
原作小説既読。漫画は未読。
期待してたものからは程遠かった。
物語。クラス全員異世界転移し、蜘蛛になった主人公視点とクラスメイト視点で話が展開される。複数視点の手法は原作準拠。各キャラの出番のバランスも考慮すると原作通りにはできないので、バランス構成はがんばったなという印象。いろいろ削らなきゃいけないけど蜘蛛の進化は削れないって考えるとその部分も頑張ったんだろうなとは思う。ストーリー自体は原作がおもしろいので特に問題なし。ゲームみたいな世界って本当は不自然だよねって主人公が言及してるところが良い。完全に同意です。{netabare}話の区切りも、原作も終わってないんだし2クールであそこまでっていうのが正解だと思う。1クールじゃ新規には続きが気にならなかったかもしれないし。新規が最後まで見て続きが気になって原作を買うなら商売としてはアニメ化は成功なんだろう。{/netabare}でも既読者からするとアニメの出来はひどい。
冒頭から不満。自分が蜘蛛だとわかるまで一人称視点でやってほしかった。{netabare}主人公と視聴者で認識のタイミングがずれて共感性に欠ける。もちろんほとんどの人が放送前から主人公が蜘蛛なのはわかってるとは思うけど、それは別として改めて主人公と一緒になって蜘蛛になった衝撃を味わいたかった。{/netabare}ちょっとしたことだけど、こいうところで製作者の熱意の程がわかる。
主人公の心情をもっと描いてほしかった。元々主人公のモノローグが圧倒的に多いのでアニメにしづらかったとは思うが、強靭なメンタルが主人公の魅力なんだから心情描写をしっかりやってほしかった。{netabare}マイホームを焼け出されたとき、マイホームを作れば安全だがそこに胡坐をかいてしまうからと“マイホームを作らないことを選択”するところをちゃんと描いて欲しかった。あれだと逃げて悔しかったから強くなろうっていうありきたりなものでしかない。それだと安全なマイホームを作った上で狩りをするっていう選択肢ができてしまう。その甘えを許さないところが主人公の強さであり魅力である。{/netabare}
人間世界の話がつまらない。それはおそらくカティアの心情が見えないから。{netabare}人間世界はシュンがメインだけど、まっすぐ過ぎるシュン、兄一筋のスー、秘密の多い先生、宗教どっぷりなユーリ、いろいろヤバいユーゴーっていう濃いメンツの中で普通の感覚を持つカティアは一番視聴者が共感しやすく、アニメと視聴者をつなげる存在だと思う。だからカティアの存在が薄くなると話が遠くなる。
それプラス前世は男で今は女っていう特殊な状況による心情の動きがキャラと物語に深みを持たせているので、カティアの扱いが適当になると話が物足りなくなる。{/netabare}
フィリメスの前でグローリア使っちゃダメでしょ。{netabare}っていうか絶対やらないはず。しかもソフィアやラースが初見みたいなリアクションなのもおかしい。あり得なさ過ぎて呆然とした。{/netabare}
細かいところ。{netabare}初めてアラバを見たとき、アラバの圧倒的な強さが伝わってこなかった。そして原作では主人公は身動きできず息を殺して陰に潜み、アラバは主人公に気付いた素振りなく立ち去るのにアニメではなぜか動いて真正面でロックオンされてた。それなのにアラバと決戦する時には「アラバの感知能力なら気付いていたはず」ってイミワカラン。
猿軍団を倒したとき、無慈悲のところも描いてほしかった。殺そうとしたんだから殺される覚悟もしておけっていう主人公の考え方が見えるとこだし、人間を相手にしたときの行動にも繋がるので。
魔法授業でユーゴーが的を燃やしシュンが消すところ。魔法ショボ過ぎ。ちょっとしたボヤをバケツ一杯の水で消したってレベル。大きく燃え上がったのを大量の水で消すからすごいんじゃん。そしてスーが大きな声で「さすが兄様!レベル1の水魔法でレベル5の火魔法を消すなんて!」とこれ見よがしに言うところまでがセット。
先生がハイリンスとアナに自分たちが転生者だと明かすところ。シュンたちに許可も取らずに勝手に言うのひどくない?ダメでしょ。しかもこれから大きな戦いになるっていうタイミング。はっきりとした答えがわからない疑問が残る話をされたら戦いに集中できないじゃん。言うならもっと早く言わなきゃ。もし自分がこんなことされたら“先生”として信頼できません。(原作ではこんなことしてないので安心してください)というかアニメでわざわざこのタイミングにずらした意味がわからない。{/netabare}
声優。主人公がちょっとうるさく感じた。Dはもっと無機質でうすら寒い感じがほしかった。
キャラ。主人公の強メンタルな描写が足りなかった。カティアの心情描写がほぼ皆無だった。フェイは前世を反省し人を気遣えるようになり、でも言うことは言える魅力的なキャラだった。まあ原作通りに描いただけだが。
作画。ひどすぎる。1点もあげたくない。
{netabare}CGを使うなとは言わない。ある程度は仕方ないことだと思ってる。でも使うにしても最低限の表現力を備えたものにしてほしい。モンスターならまだ我慢できるが、人間は受け付けなかった。身体の動きも表情も人間味がなくて気持ち悪い。
CGの使いどころに統一性がないのも不快。急にCGになったり戻ったり。気が散る。{/netabare}
戦闘描写も拙い。{netabare}動きが雑だったりぎこちなかったり、それどころか静止画も多用している。CGは論外。一切迫力なくてどんどん冷める。{/netabare}
主人公の素早さが一切感じられない。もさもさして見える。
ソフィアが巨乳過ぎて気持ち悪い。
細かいところ。{netabare}地獄門ショボくない?門って本当に門の形なの?原作読むと地面に門が開かれると思ったんだけど…。あれじゃただマグマ流れ込んだだけじゃん。あれでどうやって龍にダメージ与えられるんだよ。そしてもっと禍々しい雰囲気を出してほしかった。
暗黒弾と暗黒槍の描き分けがイマイチ。わかりにくい。
戦争回避を望むコゴウを魔王が追い詰めようとしたところをバルトが遮るシーン。どうせやるなら魔王が意地悪な表情で口を開いたところをバルトが遮り、魔王が不満そうな顔になるってふうにしないと伝わらない。
主人公が戦争に乱入したシーン。周りに誰もいない、死体すらないのはおかしいでしょ。なのに魔王と戦うと巻き込まれる人々はいる。イミフ。
同様にソフィアとラースがグローリアに囲まれたとき。二人しか描かれてなかったのに撃たれた後は兵士たちの死体が転がっている。どういうこと?手抜きにも程があるのでは?{/netabare}
音楽。うるさく感じた。特にED。後半はマシになったけど。後半のOPは良かった。かっこよくて毎回聴けた。
まとめ。全体の構成を考えた人は頑張ったと思う。でも中身は心情描写が物足りない上にフィリメスの前でグローリア使って残念。そして作画は論外。
原作既読者は記念に見たければどうぞって程度。2回目見たいとは思わない。新規の人にはアニメ見るより原作1巻読む方をお勧めする。