ふりーだむ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
彩夏の痛々しい姿が悲しいです。~2周目視聴につき追記~
多くの転校の末、人と関わりを持つのを避ける鳴海。新たしく住み始めた街でひとつの事件現場に遭遇する。そしてクラスメートで園芸部のただ一人の部員・彩夏との出会い、「ラーメンはなまる」での事件現場で遭遇した若者たちと再会し、さらには一人の少女と出会うことになる。彼女は自室に引きこもり、インターネットの情報と、協力者の情報によって動くことなく事件の真相を解き明かす、自称ニート探偵アリス。その出会いによって、彼の「運命」が動き始める。
進められて視聴した作品ですが、その内容は、私の知っている、私の好きな作品によく似ている。京極夏彦先生の百鬼夜行(京極堂)シリーズである。共通項としては、
1、人を動かし、自らの知識で動かず真相を解き明かす御座敷探偵。
2、巧みな話法と、多くの知識により、事実を構築し、真相を解明する。
3、真相解明時の黒装束(京極堂は黒の着流し、アリスは喪服)
と、言ったところであろうか。
最後に墓見坂にかけた言葉、「神様のメモ帳には君の名前はなかったよ」と、京極堂が「絡新婦の理」で平野にかけた言葉「お前のことなんて誰も見ちゃいないよ」この辺はよく似ていましたが^^
しかし、京極堂の時代(戦後)を「現代」にただ置き換えた作品ではない。現代日本の闇である援助交際、ドラッグを題材にし、情報化社会における情報の重要さや友情などをテーマにしている作品だと思います。
「僕はただの探偵ではない、ニート探偵。死者の代弁者だ。」
「失われた言葉を墓のそこから掘り返して、死者の名誉を守るためだけに生者を傷つけ、生者に慰めを与えるためだけに死者を傷つける」
「真実は平穏を破壊する可能性があるそれでも知りたいかい?」
アリスは鳴海に重い言葉を投げつける。そしてその度、鳴海の心は開かれていき、色々な人々と関わりを持つようになる。
テツ、少佐、ヒロ、四代目、錬次、ミン、ヨシキ。彼らとの出会いは、心の変化だけでなく、行動をも変えていく。
そしてその行動力、観察力はアリスに「頭に血が上ると最短距離で真実にたどり着く」とまで言わしめるようになる。
そんな変化の様子もよく表現されていました。
そして、瀕死の彩夏を見守り続ける鳴海の姿に感動しました。彩夏は回復したのでしょうか?気になります。
どのエピソードも面白かったですが、やはり四代目と錬次のエピソードは良かったですね。(途中である程度真相が解ってしまいましたが^^;)どのエピソードも続きが気になってついつい一気に見てしまいました。
「たくさんの人の群れがまるで何かの画像のドットに見えた。一個のドットに意味はない。それが2個になり、3個、4個
どんどん増えていって最終的に「絵」が完成する。でも、僕はその「絵」を一度も見たことがない。」
最後アリスと鳴海が屋上で見たひとつひとつの「花」が「ドット」となり完成した一枚の絵。それを見たときに鳴海は何を思ったのか。
余韻を残すいい終わり方でした。
アリスやテツ、少佐、ヒロなどの素性や過去が解らないのは作品的なものでしょうか?その過去や新しいエピソードを含め、2期があるなら見てみたいですね。
2周目視聴終了
改めて見て、終盤のエンジェルフィックス編は良かったです。
兄に騙されエンジェルフィックスの原材料となる花を学校の音質で育ててしまい、真実を知り、エンジェルフィックスを飲まされ学校の屋上より転落してしまった彩夏。
アリスの口から語られる「真実」は本当に悲しいものでした。2回目じっくり見させていただき、痛々しい彩夏の姿を見て思わず泣いてしまいました。
エンジェルフィックスに侵されながらも、鳴海と過ごした日々を想い続け、屋上に残した最後のメッセージ。このシーンはほんとに良いですね。
ラストに微かに動いた彩夏の指。意識は戻ったのでしょうか。そして園芸部で、ラーメンはなまるで、元気な姿になっているのでしょうか。原作は続きが書かれているのですかね。読んでいないので知らないのですが、元気な姿に戻って欲しいですね。