nyaro さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
テーマと現実社会をどうやって関連付けるかでしょう。
OPのひねくれ方を見ればわかると思いますが、初めから何かを読み取ってやろうという気合がないと、途中で置いてけぼりを食うかもしれません。なにせ今敏ですからね。全く本筋と関係ないように見える話で、結果的に何かを語っているという話が4話以降何話か登場します。
アニメとして何回もリピートしたい面白さか、といえばちょっと違います。1回見てから考察して、もう1回見て答え合わせをしたら、次は10年後でいいでしょう。
もし、本作の内容を知りたいなら退屈だと感じた話は、遠慮なくとばしたほうがいいと思います。1話から3話。5話、7話、12話、13話だけみれば何となく話は理解できます。ただしテーマ性、重要度とは別です。
5話はハードルは高いと思います。これ以外だと私は8話の捻り方が好きでした。
テーマは一言で言えば「虚構による癒しおよび他責による自己保身についての現代における社会的集団的病理」でしょうか。
要するに「集団の中の個になったとき、本当は人間が生きて行く上では切り捨てられるものを、なぜ我々は必死に守り、そのせいで病んでゆくのか。そして、ありもしないものになぜすがるのか」と私は解釈しました。
ネタバレは避けたほうがいいので、ここでは細かく述べません。それに本作の難解さは伏線を拾ってゆく部分で、テーマ性に関して言えばほぼ間違った捉え方をすることはないと思います。
むしろ我々のリアルの世界と本アニメのテーマの関連をどうやってつけるのか、というほうに頭を使うかもしれません。このプロセスを経ることが本作を咀嚼するコツと私は考えました。
そして1つ1つのエピソードの意味を咀嚼すると大きなテーマのアウトラインができて、本筋の謎を加えると答えが見える、みたいな感じです。
シンエヴァ、攻殻機動隊、シリアルエクスペリメンツレイン、SSSSグリッドマンのような名作で扱っているテーマの要素がしっかり入っていると思います。優秀なクリエータが行き着く先は一緒だなあと今回見返してみて結構感心しました。
OPの平沢進がバックと合わさって素晴らしいです。OPを飛ばさないアニメの筆頭かもしれません。