Jun さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
不幸に負けない
将棋バトルの話ではない。キャラの造形が好みではなかったので、ずっと見なかったが、割り切ってしまえば、物語の力に圧倒され、一気だった。人間ドラマ。未完成な人間が、どうやって自己実現を目指すのか。
不幸の設定や、自己ネグレクト感の強い主人公に対し、周りの人間が色々世話をやいて支えるというのは昭和ドラマのような既視感があるが、悪い話ではない。ただ本当に、心を動かされるのは助けられるばかりだった主人公が他者の危機を目にして、自然に助ける側にまわってからだ。そして川辺での数分の芝居。助ける者と助けられる者の立場が逆転して共に同時にたどり着く境地。この数分の感動のために40話以上の背景を緻密にしたといってもいい、と思う。
1クールものだと数話でトラウマから脱して立ち直るのだが、この話は二期の残り10話にならないと、陽の当たる所に出ない。だから、その長く報われないような状況から立ち上がってゆく残り15話辺りの高揚感は他のドラマにはない。
辿々しいモノローグと間、そして会話という構成に気持ちがどんどん引き込まれてゆく。声の力に何度も涙する。