nyaro さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
想像以上に面白かったです。砂糖と塩のビンをめぐる物語でした。
砂糖も塩もビンが必要なわけですが、砂糖のビンは空になっても存在しました。塩のビンは割れてしまいました。
このビンに注目でしょうね。男遊びでビンを埋めようとしたサトウが、ある日自分を満たしてくれるシオに出会いました。
なお、ビンが象徴しているものは明示されませんが、視聴者は大体想像することができると思います。
ですので、あらすじのサイコホラーというのはちょっと違うと思います。それぞれの心の中にあるビンの問題。どちらかといえば愛による救済の話です。
8話前半がやはりポイントなんでしょうね。 {netabare} 画家らしき男が、欠落しているからサトウを好きだといいます。通常こういうアニメとかマンガで画家が絵画の作成を通してキャラを評価した場合、それが本質というサインだとは思いますが、あえて偽物を描ていると言っているので、本質は見抜けていないという事かもしれません。
ただ、少なくともサトウが人を惹きつける理由は、欠落があることによる魅力ということ、シオによってサトウのビンは満たされたということは言えるでしょう。これをサトウは愛ととらえたわけです。
ですが、おばさんから指摘されたとおり、愛を語るサトウの表情はおばさんと一緒でした。つまり本当の愛ではないということだと思います。サトウが子供であることも強調していましたので、まだまだ未成熟だという意味もあるかもしれません。{/netabare}
ここから先は各自の考察になると思いますが、{netabare}少なくともサトウは最後の最後で成長し何かを悟ったわけです。そして、シオの中のビンが修復され、自分はサトウの生まれ変わりだと言い切ります。{/netabare}
余韻を持たせる結末で、また、それを考察する材料を十分提供してくれているので、ある程度厚みがある話になっていました。
追記 エンディングに関して原作とアニメの微妙な違い
{netabare} 原作既読なので勘違いしていましたが、原作にはほんの数ページアニメにはない描写があります。セリフは少ししかないのですが、ビンが修復されるようなイメージと2人がビンの中でキスをするシーン。そして、シオが成長して「ただいま」というシーンがあります。これをカットしたのはどうかなあ、と思います。
別にアニメの材料だけでもいいんですけど、このシーンをアニメ版はカットしているのはなぜかなあ、と思いました。一番感動があって、重要なシーンだと思いますが。
OPとEDを考察すると代替できる気もするんですが、EDを見る限り私とちょっと解釈が違うかもしれません。
{/netabare}
率直な感想ですが、ストーリー自体も面白いし、構成もこういうサイコ的なミステリーの興味を引くような組み立てでした。表情や演出などの表現も迫力がありますし、作画も良かったです。かなりいい出来のアニメだったと思います。
物足りないとすると、サトウ、シオの親、あるいはサトウのおばさんに関するストーリがもっとあったほうが、2人の歪み方の深掘りが出来たとおもいます。
初めの方の女店長と後輩のストーカーJKのところが少し本筋から離れているので、そこを切ってもこの説明があれば良かったのにとは思いました。
セリフだけはヒロインも女店長もサブのJKも性的な匂いを漂わせているので、そういう方向かなあと思いましたが、そこは切りましたね。もちろんそういうエロい部分も嫌いじゃないですが、いい判断だったと思います。