蒼い✨️ さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 2.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
唯一無二ですが視聴は一度でいいかな。
【概要】
アニメーション制作:ロックンロール・マウンテン、Tip Top
2020年1月11日に公開された71分間の劇場版作品。
原作は、大橋裕之の漫画『音楽と漫画』、『音楽 完全版』
監督は、岩井澤健治。
【あらすじ】
特にやりたいことがあるわけでもないが、
つるんでは他校の生徒と喧嘩している、
高校生の研二と太田と朝倉は有名な不良トリオ。
口数が少なく何考えてるかわからないハゲの研二の思いつきで、
三人はバンドを結成する。演奏なんかやったことのない彼らだが、
ギター無しで、ベース二人とドラム一人の編成で、
テクニックと呼ぶにはほど遠い演奏だが取り敢えず音を出したり、
自分たちに『古武術』とバンド名をつける。
研二らは音楽を通じて技術じゃないソウルで通じ合って、
同じ学校のフォークソング部の『古美術』というバンドと交流を持ち、
そのフォークバンドの森田から、
8月に行われる“坂本町ロックフェスティバル”の參加を、
研二らは持ちかけられるのだった。
【感想】
関係ない話から始めます。
アニメを見て◯◯という作品は作画だけで他はカラッポみたいなことを言う人が時々いますが、
私個人の考えですが、本当に中身がないのなら反響に出ますよね。
こう書くと同調圧力と思う人もいるかも知れませんが、
多くの場合が多分その作品が本当に中身が無いのではなくて、
文句言う人に限って内容を感じ取る心が無いうえに、
褒める風評の多さで苛立ちを増幅させている。
普通に人と人が会話していても同じ説明でも理解できる人とできない人がいるのと、
アニメを見た感想で誤差が出るのも似たようなものですよね。
スタッフが心を砕いて作った作品に応える人がどれほど出て好評を得ていようとも、
他の人たちが作品のテーマやメッセージを感じ取って称賛している中身を、
その一部の人間が単に話の意味を理解できてないから、
イソップ寓話の『すっぱい葡萄』の狐みたいに、
その理解できないものを下げることで自分を正当化しているだけですよね。
その作品を見て他人が何を感じたのか?とかいった想像力や洞察力が当人には無い、
下げる場合は自分が他人とは感性が全く違う存在であると前置きをしたほうが妥当ですね。
私にも理解できてないアニメがありますから、
結局は人それぞれってことでしょうけどね。
余談は終わって本題に入ります。
原作漫画知らなかったのですが、
amazonで『音楽と漫画』を試し読みすると落書きみたいな絵でびっくり。
カスタマーレビューは低くないので絵じゃないなにかがあるのかもですが。
一般的なスタジオ制作ではなくてそれを自主制作で、
7年もかけて手書きでアニメ化した根気にさらにびっくり。
もともと少人数による制作の長期化で監督一人で半数近く作画作業してたり、
足りない資金はクラウドファンディングで調達してたようで、
並々ならぬ苦労に本当にお疲れさまです。
その監督の岩井澤氏のアニメづくりは独学であり、
アニメーターとして誰かに学んだわけでもなく、いくつかの短編アニメを経て、
今作品では全編ロトスコープで撮影した映像から一枚一枚作業してたようで、
確かに動きはリアルなのですが、キャラの目の描きかたが独特すぎますし、
喋ってる間表情が動かないどころかまばたき一つしないですし、
登場人物も本職の声優がいなく、
やる気なさそうな棒読みみたいな喋り方で何もかもシュール、
とにかくセオリーを外しまくった作りですね。
“日本の劇場用アニメーションは、
本来スタジオ主導で数千万〜数億の予算をかけ、
1年〜3年の期間で数百人のスタッフの手によって作られていますが、
コストと時間が膨大にかかるため、 テーマや内容もヒットが約束される、
マーケットを意識した作品が多くを占めています。”
そして、それは同時にアニメーションの可能性を狭めている!
アニメの動きはパターン化しているからロトスコープの有用性がどうとか!
などなど、監督さんが応援プロジェクトのページでこんなこと言っちゃってますが、
それを口実に他人を無為にこき使ってその上にあぐらかいてるわけでもなく、
資金調達や労力面で人に迷惑かけてるわけでもなくて、
有言実行で可能な限り自分で頑張って全部やってますので、
技術面の賛否は別として自己責任的な部分では全く悪くはないですね。
その努力とは別に、セオリーから外れて感情のないアニメーションになんだこりゃ?
であかんアニメかも思ってましたら、線画ではあるもののこれもロトスコープを使った、
本気の演奏シーンでいきなりリアルな絵になるのに笑ってしまいましたわ。
リソースも技術もプロの会社と比べたら敵わない。自分の力量を正確に測って、
足りない部分を逆に演出に利用する発想。
製作委員会などが絡んだプロの土俵では難しい、
インディーズだからできる奔放さがこの作品の持ち味なのでしょうね。
このアニメで伝えたいことは技術面を超えたハートの震え。
普段の無気力っぽい研二が衝動から起こすクライマックスでの行動。
多分、それがロックの魂なんでしょうね。
実際にどういうものであるかは、見てのお楽しみということで言わないでおきます。
私は、アニメはプロの職人さんが集まった仕事の結果であると信じていますし、
それは今も変わらないのですが、このアニメからも伝わるものがそれなりにあったので、
それで良しとしました。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。