芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
催眠ホモ版ガンスリンガーガール
催眠したり人の心の思い出を壊して発狂させる仕事人の話。
催眠洗脳描写とか、人の発狂シーンとかが好きな人にはおすすめできる(自分はまさしくそう)。
瀕死的状況の子供を救って異常な依存心を植え付け、その異常能力を使って組織の汚れ仕事を行う、という設定はガンスリンガーガール的である。唯一の違いはその強烈な依存心が男→男、であることで、主人公二人の容姿も相まってホモくさい。最初はBL要素的にみえてちょっと男性目線だとソワソワするものがあったが、愛情というより狂気的な依存であることが徐々に明確になるので、途中からは気にならない。{netabare}特に司がどんどん狂人化してもはやそういう対象とは見えなくなってくるので。{/netabare}
作品の白眉は、洗脳、催眠、夢の描写で、なんらかの一言、あるいは一つの動作で突如日常から洗脳と催眠と夢の世界に入るところのかっこよさとか、夢世界のシュルレアリズム的なグロテスクな現実味だろう。何かの印を作ってそれをキッカケに洗脳で指示された動きをする、とか催眠状態に入ってしまう、というのは使い古しの設定だけれど、これは視聴者に対する日常と非日常を跨ぐ境界を明瞭にする役割も持っていると思う。口元がアップで移され低い声で何かをささやいたり、紙をみせたり、急に何か急に何か言葉を挟んでしまうとかうわおばけがいるこっちを見てる
嘘、お化けなんていないけどそんな日常で何気ないことから非現実に窓の外からこっちを見て目が黄色くて笑ってる
物語は日常から非日常(向こう側)へ行き帰ってくることだという。洗脳のきっかけの言葉は日常から非日常への跳躍というその物語内のメタ的は動きをそのまま明示してい黄色い目を隠さないと笑いが消えない。笑いが消えないと帰ってくれない
なんでおばけがいる?
この手の人の夢や思い出に侵入するタイプの漫画やアニメは幻覚ピカソとかパプリカとかいくつか思い浮かぶし、またそういう系統か、とあまり期待していなかった。しかしその手の作品は基本的に治療としてだったり、事件解決の糸口を見つけるためのもので、それを他人の記憶をすり替えてしまうためとか、他人の最高の思い出をぶち壊して人格崩壊させてしまうとか、そういうエゴのためにやりたい放題しているところにかなりフィーチャーしてるのが新しくて良いところだと思う。あと、上述したような夢的な荒唐無稽さ、容易なきっかけで場面が転換する夢らしい自由さの点でも他の作品と比べてもかなりクオリティが高い。
性格が悪いが愚鈍で他人に使われがちなキャラクタというのは結構魅力的に見えることがある。多分そういう現象はエンタメ界ではよく知られていて、そういう愛嬌あるキャラクタは色々な作品で目につくが、そういう意味で中盤桂木がいい味を出してくる。{netabare}終盤は扱いが良すぎてびっくりするレベルだが。{/netabare}
漫画原作だが若干伏線を残すもののワンクールでかなり綺麗なところで終わらせられているのも良い。