ひろたん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
自分探しをやめたとき、探していた自分が見つかる
人化した動物たちが暮らすパークに迷い込んだ子供が自分の正体を探す物語です。
その子供は、記憶が曖昧で自分の名前が分かりません。
そこで、背負っていた鞄にちなんで、「かばんちゃん」と呼ばれました。
この世界では、みんな自分たちが何者かも分からず、元気にはしゃいでいます。
この時点でダークな匂いがプンプンします。自分の好きなやつです。
話しが進むにつれて謎が小出しにされていきます。とても良い展開です。
そして、4話でやはりそう言うことかと分かります。
とてもオーソドックスな展開ですが、そこが良いのです。
この作品は、いろいろな解釈ができるのだろうと思います。
自分は、「自分探し症候群」への処方箋のようにも思えました。
自分探しをすること自体は、悪いことではありません。
しかし、ずっと見つからない出口を探し彷徨い続ける状態は良くないです。
そもそも自分探しって言ったって、遠い先ばかりを見ていても見つかりません。
なぜなら、自分は今ここにいるのですから、他を探したっていないのは当然です。
{netabare}
この話では、かばんちゃんは、実は、ヒトではなく、ヒトのフレンズでした。
結構、これ、ダークな設定ですよね?
つまり、ヒトではないのですから、いくら自分を探したって見つかりません。
{/netabare}
自分探しを続けても答えが見つからない人は、たぶん遠くばかり見ています。
自分探しの答えは、どこかで見つけるものではありません。
自分がどうありたいかを考えて、それに近づいて行った結果が自分だと思います。
そのためには、どこかを探すよりも、まずは自分自身を見つめることが大切です。
それには、他者の中における自分の立ち位置を確認し、確立することです。
ヒトは集団の生き物なので、自分一人だけでは、自分は成り立たないからです。
自分は、みんなと何が同じで何が違うのか。
自分は、みんなからどう思われたいのか。
自分は、みんなのためにどんな役に立てるのか。
それらをひっくるめて、自分なのです。
かばんちゃんは、「考えること」でみんなに貢献できることに気づき始めました。
そして、11話で、自分探しよりも優先すべきことが分かったのです。
それは、みんなのためにできることをしたいと言うことだったのです。
かばんちゃんが自分探しをやめて、なりたい自分を見つけた瞬間でした。
自分がどうなりたいかと言うことの方が大切だと気づいたのです。
それが自分探しの答えでした。
その後、自分探しに必要な船を、仲間を守るために捨てたことが象徴的でした。
この物語は、結構シリアスな設定なのに、とても明るく元気が出ます。
でも、ただそれだけではなく、影の部分もちゃんとあるから良いのです。
テンポも良く、分かりやすく、適度に謎と闇への好奇心を刺激してくれるのです。
あっと言う間に観終わってしまうぐらい面白い作品でした。
しかし、この作品は、まだまだ好奇心をくすぐる謎を残してくれています。
続きがすごく観たい作品です。
そして、2期もあるのかと喜んだのも束の間、なんだかきな臭い匂いが。
案の定、2期は、1期をファンもろとも薙ぎ払ってしまった作品だそうで・・・。
とても残念ですが、たぶん、2期は観ないかなぁ・・・。
この作品は、かばんちゃんの成長物語として1期で完結したと思うことにしました。