剣道部 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
人生で一番若い日は、今日
[文量→中盛り・内容→感想系]
【総括】
美大受験をここまで丁寧に描いたアニメは、多分、初でしょう。
雰囲気は完全にスポ根。熱いです。また、知らない絵の世界を覗ける楽しさもあります。
レビュータイトルは、このアニメを観て思ったこと。「今が一番若い」という永六輔さんの言葉を引用。
「青春とは人生のある時期ではなく、 心の持ち方を言う」と言ったのは、アメリカの詩人だったかな。
私は30半ばを過ぎたオッサンですが、何か何かを始めたくなってきましたね。そういう、青臭く、熱く、哲学的な美術アニメでした。
《以下ネタバレ》
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
このアニメの一番凄いと思うところは、「良い絵がちゃんと良い絵に見える」ということ。
アニメの中で、「この絵は良い」「この絵はダメ」「この絵は凄い」「この絵は技巧に走っている」というのが、絵だけでちゃんと伝わった(少なくとも私はそれを感じた)。
これはスゴい。まして私は、絵に関してはド素人だ。
このスゴさを感じたのは、実に「響けユーフォニアム」以来だ。あの名作は、「音」でそれを感じさせてくれた。
また、「言葉の力、深さ」というのも本作の素晴らしさ。
「技術で本音を隠すより、本音を技術で武装する。」(6話目)
「息を抜くのは、次に息を吸うため。」(8話目)
「正しいから優秀だけど、正しい場所からしか話せない。」(9話目)
「落ちたら俺のせい、受かったら俺のお陰。」(10話目)
「後悔はない、反省は山ほどある。」(12話目)
いずれも芯をくった言葉だと思う。かなり共感した。
さらに、ドラマ性も高い。特に鮎川龍二のストーリーには厚みがあった。文学的なニオイがした。また、1話で「自己表現のため」絵を描き始めた八虎の絵が、12話で世田介君に伝わり、感涙するという壮大な伏線回収(ドラマ作り)は素晴らしかった。
基本、ダメなところは見当たらない。でもじゃあ、☆5になるほどのずば抜けた(天才的な)何かがあったかと言われれば、やや微妙。
そういう意味では、八虎に似た、真面目によく作り込まれた秀作なんだと思います(笑) 2期、期待ですね。
{/netabare}
【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
青年誌原作って感じの、キャラデザや雰囲気、ストーリーだな。自己表現の方法ね。ハンカチ王子?
2話目 ☆3
なんだ、不合格して浪人生として主人公と恋愛&ライバルになるかと思ったのに。絵とは、描く以上に見るもの。
3話目 ☆4
ライバルキャラも出てきて、いよいよ青春群像劇。
4話目 ☆4
まあ、変わったことやるのが、迷走の可能性もあるよな。桑名、ヒロイン候補? 悔しさで書いたオレンジの絵、迫力あったな。
5話目 ☆4
このアニメのすごいところは、良い絵がちゃんと良い絵に見えること。自分の絵の焼き直し。難しいよな。鈍感力が必要だが、それでは多分、一流にはなれない。
6話目 ☆5
俺たちまだ、高校生じゃん。大切な気づき。恋ちゃん、男前。初めた頃の楽しさね。技術で本音を隠すより、本音を技術で武装する。良い言葉だ。✕か。
7話目 ☆4
8話目 ☆4
熱いシーンが、ちゃんと熱いな。ヒロイン候補が、またもや。息を抜くのは、次に息を吸うため。博物館で目立った人は、ある種の死亡フラグだったな。
9話目 ☆4
救命胴衣は持ってきても、海には飛び込まない。正しいから優秀だけど、正しい場所からしか話せない。高校生には辛いやな。性同一性障害も。上手い魅せ方だな、駅のとこのカット割。
10話目 ☆4
蕁麻疹が出る程のストレスを、リュウジは抱いていたか、という定義。落ちたら俺のせい、受かったら俺のお陰。その通り。
11話目 ☆4
スポ根だよな、実質。ヌードモデルをエロく見られないのは分かる気もする。知らんが(笑)
12話目 ☆4
戦略を練るのも、その人らしさだよ。伝わるということの嬉しさは、1話の伏線回収やな。努力と戦略は自分の武器。後悔はない、反省は山ほどある。この繰り返しをするから、表現者はシンドイんだよな、多分。受かると思ってなかったんだ。諦めたらそこで完成。桑名マキ、泣くよな、そりゃ。2期は、大学生編か。この熱さを、どう維持できるかだね。
{/netabare}