ウェスタンガール さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
残照
大して観ていないのに偉そうに言うな!、ではあるが、数ある転生ものとは一線を画す作品のように感じる。
先ずもって設定が良い。
登場人物が頼りとするのは、持って生まれた本性のみである。
前世はこうであったから、こうしたいな、こうありたいな、ではないのだ。
彼らが抱く、こうなってしまうのではという不安、自らの適正に対する漫然とした恐れに立ち向かい、たった今から成長し、生きてゆかねばならないリアルである。
色とりどりの星々、それはグリムガルに転生したそれぞれの前世を表しているかのようだ。
それはオープニングに描かれたビー玉そのものであろうか。
そして、鈍く光を放つ赤い月が、そんな彼らの心根を残照の如く照らし出すのである。
その光は、彼らの本性を映し出すには余りに儚く、不気味に色づき鈍い光を発するのみである。
しかしそれは次元を超え、心のひだに絡みついた前世の残滓とでも言うべきものと共鳴しているかのようだ。
水彩画のように繊細な作画は特筆に値する。
キャラデザも然りだ。
陰影が巧みに施され、ラインの美しさも中々で、それを動かすには、相当な労力が必要であったに違いない。
さすがにバランスが崩れ、一部不自然なシーンも有るには有ったのではあるが、まあ些細なこと。
とても好感の持てる良作であった。