ひろたん さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
主人公は、長く孤独な旅を終え再びヒロインのもとに戻ってくる。それは、まるで彗星のように・・・
この物語は、「後で絶対バチあたるな、こいつ!」と思う主人公が登場します。
案の定、すぐにその機会がやってきて、どたばたスタートします。
その後、ヒロイン奈緒が統率する学園課外活動ものに移行します。
奈緒が率いる生徒会が行っている活動は、特殊能力者を保護することです。
特殊能力とは、思春期に発症する一過性の病気です。
しかし、一度発症すると社会的に抹消されてしまいます。
そこで、生徒会は、発症した人をいち早く見つけ助ける活動をしていきます。
ここで「なるほど、そう言う話なんだ」と思ったが最後、足をすくわれるのです。
つまり、この物語は、途中から最初に予想もしていなかった方向に進みだします。
この話の面白さは、このストーリーの転換にあります。
物語は、シリアスな展開となり、この世界の謎も明かされていきます。
{netabare}
・能力は、シャーロット彗星がバラまいた物質が原因で発症すること。
・未来には能力者たちの人権がないこと。
・能力者たちは、その打開のため各能力を駆使してタイムリープしてきたこと。
・今の状況を創り上げるのにタイムリープを何回も繰り返す必要があったこと。
{/netabare}
とてもSFファンタジーらしいストーリー展開です。
ここまでは、非常に面白いです。
さて、いよいよここからがラストに向かって盛り上がっていくところです・・・。
ところが、その先の脚本がちょっと残念なのです。
数人の微妙なテロリストが現れたあたりから話が小さくまとまっていきます。
最後に主人公は、世界中の能力者を救うために旅に出ます。
それは、世界中を飛び回るグローバルレベルの大仕事です。
それなのに、やっていることが地味な個人作業を続けていきます・・・。
その間、他のキャラも絡んできません。
ずっと一人で孤独な旅をしていくのです。
しかも、それらは、さらっとダイジェスト的にまとめられています。
正直、尻すぼみ感が拭えません・・・。
自分は、最後、シャーロット彗星をからめて何か起こることを期待しました。
しかし、実際は、病気の原因として少しだけ話題となり、それっきりでした。
結局、彗星とは関係ない方向に話は進んでしまうのです。
この話は、昔からある彗星にまつわる伝承をベースにしたと言う点で面白いです。
それに1話目では、主人公の妹が一生懸命天体観測もしていました。
それなら、最後も彗星を活かした展開になると嬉しかったのです。
そうすれば、タイトルにちなんだステキな話になったと思うのです。
そう残念がっている自分の中に、ある1つの疑問が浮かんできます。
それは、ではなぜ「彗星」が題材だったんだと言うことです。
タイトルにもなっているのに、なぜこんなにも「彗星」の扱いが小さいのか?
そこに重要なメッセージはないのか?と、言うことです。
もやもやしながらも、物語はラストを迎えます。
主人公は、最後、約束通り奈緒のところに戻ってきました。
この時の病室での二人の会話のシーンは、とても感動しました。
「あっ、そう言うことなんだ。」と、ここで初めて自分は気づきました。
彗星は、病気の原因を世界中にバラまきました。
主人公は、世界中をまわってその病気を無効化してきました。
彗星は、単独で長い周回軌道を回り再び私たちの前にその姿を見せてくれます。
主人公は、一人で世界中を駆け巡り再び奈緒の前にその姿を見せたのです。
主人公は、まるで宇宙空間を一人で巡る彗星のように辛く長い旅をしてきのです。
そして、再び戻ってきたのです。
つまり、この話は、話そのものが彗星のようなテーマだったと言うことです。
これでやっと疑問が解けました。
タイトルにも、そんな意味が込められていたのではないかと思います。
そう考えると、なんだかステキな終わり方だと、だんだん思えてくるのでした。
後半の展開をもう少し丁寧に描いていてくれたら良かったと思いました。