nyaro さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
謎解きが暗すぎる。柳の下のドジョウ感。ヒロインの目はなぜ?
「氷菓」と同じ系統の人が死なない推理、日常の謎系ですね。アニメだと本作とこの2つくらいしかないかもしれません。
また、吹奏楽がテーマということで「響け!ユーフォニアム」との類似性も指摘されますが、原作自体は(当時は)比べ物にならないくらい本作の方がメジャーですし、小説の出版もこちらの方がかなり前だと思います。
本作は系統で言えば北村薫以降で、坂木司、加納朋子などと同系統でしょう。主人公のLGBTが分かりやすいですが、何といいますか、人権というか寓話的というか何かそんな系列です。
推理そのものは真面目にやってますし、青春部活ものとしても面白くて一時読んだ記憶があるのですが、説教されている気がしてちょっと後味が悪いんですよね。ですのでリピートはしていません。
氷菓の謎が、日常の謎の下にある更にキャラたちの心理的な動機(例えば映画の話ですが、{netabare}謎を解くのが目的じゃなくて、つまらない脚本を主人公を利用して面白い脚本を作るという裏事情。更に主人公の姉すら利用していた犯人の思惑を姉はわかっていて、あえて乗っかってやったというオチ。幽霊が出た真相が大事じゃなくて千反田の姉妹への憧れと現実の姉妹仲が悪かったという結末。アニメ版は変えています{/netabare})だったので、ストーリーとして面白かったし、何より4人のメインキャラの性格造形がしっかりできていました。
本作は、ヒロインのチカは非常に魅力的なのですが、それ以外が付いてきません。主人公のハルのLGBTが上手くキャラ付けに活かされていなくて、テーマにもエピソードとしても意味がありませんでした。
謎についてはまあ考えすぎ…ですよね。というより暗すぎですね。ルービックキューブもエレファントブレスも初恋ソムリエも、まあ、ほぼそうですが、亡くなった人の思い出とか、昔の因縁の人の暗い部分を暴き出すような感じで、とにかく結末が暗い。
なので、ヒロインをこれでもか、というくらいに能天気に明るくしたんでしょうが…爽快感が全くありませんでした。
響け!ユーフォニアムとの比較は、原作から言ってジャンルもテーマも違いますので、偶々部活が一致しただけです。本作ハルチカは、プレイヤーのスカウトと絡めての推理なので舞台設定でしかないのです。
が、アニメ制作の意図としては、柳の下を狙って、京アニの名作2つの良いとこどりをしようとして失敗したと取られても仕方がないのかなあと思います。
つまらなくはないですが、逆にその2作との比較で相当損している気がします。
キャラデザは悪くはないのですが、チカの目はなぜああなった?あれのハードルは相当高いと思います。
ただ、OPの主題歌とヒロインのメチャメチャ明るいところだけは、妙に印象に残っています。