「シドニアの騎士 あいつむぐほし(アニメ映画)」

総合得点
79.0
感想・評価
112
棚に入れた
483
ランキング
527
★★★★★ 4.2 (112)
物語
4.2
作画
4.3
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.2

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「つむぎ」の名前に込められた想い

誰がどう見ても絶望的な状況へ一度突き落としてからの挽回のすごさは、さすが。
絶望的と言うことは、先が読めないと言うことですが・・・。
そこは、突飛な方法で乗り越えてしまうあたりがエンタメ映画らしいところです。
また、フルCGと言う挑戦的な作品なので、最初はどうなるかと思いました。
しかし、若干違和感ありつつもCGでなければ描けない世界を見せてくれました。


「シドニアの未来のために」
この物語では、この大義名分のために一体何人が死んできたのだろうと思います。
みんな最初は「誰かのために」戦っていたのだと思います。
それがいつしか「シドニアのために」とすり替えられ、死んでいくのです。
大義名分は、昔から戦争の道具にされてきました。
人の良心を操るものなので、その辺の武器なんかよりよほど怖い道具です。

そんな死に戦に、若い騎士をどんどん投入するのが小林艦長。
しかし、心の中では、「一人も死なせたくない」と思っています。
それに対してすごく違和感を覚えます。
しかし、そんな艦長自身も結局のところ、その大義名分のために動いていた一人に
過ぎなかったのだと分かると少し切なくもなります。

主人公「谷風」とヒロイン「つむぎ」は、少し違います。
大義名分よりもお互いのために行動します。
谷風は「つむぎのために」、つむぎも「谷風のために」と言って命を削っていく。
「誰かのために」これほど強くなれる気持ちは、他にないのだろうと思います。
今回、鍵を握る落合も結局のところ、最初はある人物の「ために」でした。

この作品は、みんな「誰かのために」自分を犠牲にしてまで前に進もうとします。
それが美しくもあり、とても恐ろしいことだなとも思いました。


「つむぎ」のデザインは、正直、何度見ても見慣れません。
それでも、この2人を見ていると切ない気持ちになってきます。
そこには見た目ではないなにか、普遍的なものがあるのだろうと思います。
紅の豚、美女と野獣も然り・・・。
人と人ならざる者の間の恋や愛でも、その本質は同じと言うことなのでしょう。

谷風とつむぎの身長差は、15メートル。
この報われない恋の結末はどうなるのでしょう?
{netabare}
落合は、人類の種を永遠に残すことを目的にしていました。
そして、人類の不完全な特性を超越し、究極の生命体になることを目指しました。
それに対し、この物語では、人類と言う種を愛の結晶と言う形で新しい命として
「紡いで」いくことを、谷風とつむぎの二人を通じて最後に選択したのです。
そのことが「つむぎ」と言う名前には込められていたんだなと分かりました。
{/netabare}
最後は、それを象徴する綺麗な終わり方をしたのではないかと思います。

投稿 : 2021/10/15
閲覧 : 214
サンキュー:

15

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