nyaro さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
批判で純粋に楽しめないのは残念でした。2つの論点です。
田舎の日常として、シマムラとかユニクロにビビるちょっと変わった女の子が、古臭い田舎に辟易しながらも都会に憧れながらいろいろ挑戦するとことをギャグテイストでみせるという作品で、非常に面白かったと思います。絵も奇麗ですし。
アニメは丁寧ですし、ちょっと古臭いテーマですが、クマを登場させることでちょっと不思議な雰囲気で、興味深く見られました。
で、話題の論点2つですね。アニメがこういう批判で純粋に楽しめなくなるのは悲しいことですが、特に最終回については仕方ないでしょう。
1つ目。最終回周辺のアイドルオーディションの話です。
もう2歩くらいシリアスに行って、田舎の共同体的な価値観の上に犠牲になる少女、都会とかスマホ、アイドルグループやゆるキャラと言った価値観に対するアンチテーゼ、アイヌやヒグマという北海道とのつながりで歴史的に複雑な東北の文化を描く…みたいなところに到達できていれば、深い話になったとは思います。ですが、それは本作とは違うストーリーでやるべきでしたね。
キャラの行動についてです。よしおはひどいですが一貫性がありました。ヒグマがやはりキャラ設定とズレました。無理にまちを仙台に行かせようとした理由がわからないし、失敗させて都会への進出を諦めさせようというなら、ちょっとひどすぎます。
ヒビキのよしおに惚れ直したみたいなラストもちょっとキャラが違うのではないか、という気もします。
仙台の人は少なくとも石は投げないでしょう。よしおのあれも山の神の仕業だったということ?
ラストのヒロインの疲れ切った病的な目とよしおの今後も同じような事を続けるという決意を見ると確かにバッドエンドに見えても仕方がありません。よしおに山の神の罰が当たってひどい目にあって、ヒビキにあきれられるというのならまだ良かったと思うのですが。
2つ目。ちょっと露出が多くてお肌が見えることについては気になりません。本作は日常系の様でいて、そういった微エロを楽しむ要素があるからです。ただ、純粋なほのぼの日常系を期待していた人にとっては、ちょっと性の匂いがするとことがノイズになった可能性はあります。
ただし、よしおの行為についての不快感は理解できなくはありません。これはまちの尊厳を傷つける行為に見えるからです。よしおに対する不快感は本作の一つのテーマですので、成功しているともいえますが、あまりに弱い物イジメ過ぎて、ましてそれが性的な行為に近しいのでレイプに近しいような感覚を抱くのは無理からぬことかと思います。
それとも田舎だから性的に前時代的な価値観がある、みたいなテーマがあるのでしょうか。
ここが解りずらいところで、わざわざアイヌの衣装とヒグマを出したということは、相当古い過去からの因縁のある村の陰の部分を、コメディーテイストのオブラートに包んで批判的に描いた、という見方もできます。よしおのミドルティーンの少女に対する性的な行為は、そういう夜這いや女性の子作りの役割的な古い価値観を表していたともいえます。少女の庇護者であるヒグマの性的な部分にスポットを当てる回などは、近親相姦的なおぞましさも想起させました。
全体的に非常に閉鎖的な「ムラ社会」「都会との価値観のギャップ」で起こる少女の悲劇、病的な状況に追い込まれる周囲の人間の身勝手さ、みたいなテーマがあると言えばあるのですが、多分視聴者のニーズが全然違いますよね?
ということで面白いアニメだと思いますが、どこか視聴者の期待や価値観とのズレがあって、批判される結果になったのだと思います。
客観的に見れば悪くないと思うのですが、アニメは嗜好品ですので主観的な満足度の方が重要なのでしょう。