「Free!-Dive to the Future-(TVアニメ動画)」

総合得点
69.1
感想・評価
143
棚に入れた
741
ランキング
1907
★★★★☆ 3.6 (143)
物語
3.4
作画
3.9
声優
3.6
音楽
3.4
キャラ
3.5

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

大増量!イケメン軍団!!

【概要】

アニメーション制作:京都アニメーション、アニメーションDo
2018年7月 - 9月に放映された全12話(+OVA1話)のTVアニメ。

原案は、おおじこうじによる小説、『ハイ☆スピード!』
監督は、河浪栄作。

【あらすじ】

水泳への思いを抱えて高校を卒業して、
それぞれが自分の道を進んでいる若者たち。

上京して燈鷹(ひだか)大学に入学した七瀬遙は、
中学一年の時に水泳部でメドレーリレーのチームを組んだ椎名旭と再会し、
ともに大学の水泳部員としてスタートする。

遙たちの母校の岩鳶高校は、
選手二人と女子マネージャーが一人と新入生三人が正式入部して、
六人で全国を目指す。

遙の中学時代の記憶には、繊細な少年の郁弥がいて、
チームがバラバラになってしまったことと彼との別れで、果たせなかった約束があった。

郁弥は霜狼(しもがみ)学院大学の水泳部のホープではあるが、
昔にも増して人と距離をおいて心を開かなくなっていた。

遙とともに上京しては別の大学に進学した橘 真琴は、水泳の指導者という夢を持ち、
オーストラリアのクラブチームで名コーチのミハイルの指導を受けて頑張る凛は、
そこで思いがけない出会いをする。

水泳に魅せられた男たち。彼らの今とそれぞれの過去が繋がっていく。
これは、泳ぐことを通して彼らの心が邂逅しぶつかりあう、
青春と友情の物語である。


【感想】

京都アニメーションといえば、未だに「ハルヒ」を引きずって口にする人も一部にいるようですが、
「ハルヒ」「らきすた」「CLANNAD」などを手掛けていた時代は、京アニの40年の歴史のほんの数年。
元請けをはじめるまでの20年間、優良な下請け会社として勝ち取ってきたアニメ業界からの信頼。
古くは昭和50年代半ばの「ドラえもん」がはじまりなのかな?

90年代初頭に会社のステップアップを目的に木上益治さんを招いて、後進の指導に長年あたってきた、
その結果として生まれたスタッフの質と技術の共有は、
ジャンルを問わずに一貫した映像のクオリティで作品にフィードバックしてきた。

2000年代は思惑が一致したのと製作委員会の意向で、
角川のラノベや美少女ゲームの原作でアニメを作って成功を収めてきましたし、
それは、スタッフが作品に本気で取り組んできた結果。ただ、それだけの話なのですが、
その京アニクオリティを盾にして東映版kanonや出崎統監督らにマウントとってきた人らもいました。

後に京アニがさらなる作品の向上を目指していて、
丁度作風を変える時期に山田尚子さんが監督を務めて演出が注目されるようになったり、
また、オリジナルや自社原作の比率が増えて美少女ゲームのアニメから手を引いたことから、

京アニ=ハルヒや美少女ゲームという固定概念がある人たちからみれば、
「ハルヒ」や鍵作品こそが京アニの全盛期であり、10年代は変節したように見えたのでしょうかな。

目が大きい美少女アニメを複数やってきた、これまでの京アニのイメージから特にかけ離れている、
「Free!」なんか腐向け、BLというジャンルで括られてネタにされてたような。

何事も作品を自分の目で観てみないことにはわからないことが多いとは思いますけどね。

さて、今回の第3期は今までの「Free!」のすべてのストーリーの総決算的な話。

総集編ではない映画2本を含めて、遙が小中高と関わってきたキャラクターの総登場で、
詳細なエピソードを『世間は広いようで狭い』再会物語で回収していますので、
楽しむにはTV版と映画版をくまなく予習していることが必要でして、
いきなり3期から入ると意味不明になることは間違いがないですね。
(鳥取人が東京で局地的に偶然の再会をやりすぎて、そこはフィクションとしても出来すぎ)

多くのイケメンキャラたちは陽気でいい奴ですが、「Free!」はストーリーがパターン化していまして、
1期の松岡凛、2期の山崎宗介と棘となって話を引っ掻き回す役回りが存在している。

今回は遙と郁弥の中学生時代から始まって大学で再会した彼らの関係性が話の軸となっていまして、
メンタルが弱い郁弥が自分を守るために心に鎧を纏って冷たい感じになっている、
その郁弥が遙と泳ぐことで心の雪解けをする話なのでありますが、
郁弥の親友であるはずの遠野日和が、お邪魔虫のウザいやつとして不評なんですよね。

日和がどんな人間かと言うと、非常に内向的な性格でして、
人との付き合い方をきちんと学ばなかった人間は、一度好意を向けてくれた相手に依存する。
特定個人への独占欲が肥大化して、自分と「大切な人」との関係に割り込んでくる(当人の主観)
人間を嫌って排斥しようとする。日和はメガネイケメンというキャラでコーティングされていますが、
その人間の弱さからくる歪んだ好意・拗らせた行動をどう思うかが作品への評価に直結してるような。
日和の郁弥に対する行動は、「もっと僕を友達として認識して欲しい」と同性に対するメンヘラ。

心が弱い人間が人の真心などに触れることで勇気を得て自分の弱さと向き合って改善する話であって、
その人間としての弱さや葛藤を一人の視聴者として許容して味わえるかどうか?
で評価が上下する感じですね。

「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」でも少佐の行動を叩く人がいるのですが、
キャラへの理解と共感を要するという一点で似たような構図ですかも。

その日和の病み具合を腐女子フィルターなりで萌えに変換するか、日和の思いを納得して理解する。
それが出来てないと、解決する8話まで視聴するにはストレス要素になるかもと思いました。

日和が浄化されて遙らと郁弥が親友関係に戻ってからは、
渚や怜たち高校3年生の最後の夏が爽やかで気持ちのいい話であったり、
世界一速い海外の水泳選手や国内で圧倒的な実力を持ついけ好かないライバルが登場して、
圧倒的に高い世界の壁に打ちのめされながら遙の才能と可能性の話。

本当はこういう話のほうが盛り上がりますし、こっち路線で観たかったんですよね。

「Free!」ってガラスのハートなイケメンたちを楽しむ話で、
1期の凛が挫折から立ち直る話は感動して良かったのですが、
2期の宗介、3期は郁弥はともかく日和が微妙で感情移入出来る部分が小さくなる感じ。

シナリオを作った人たちはそっちを観て貰いたかったのかもですが、
全12話という枠で増えすぎたキャラを扱うには省略せざるを得ないストーリーが多く、
例えば、日和の話を短縮して、
遥らの母校の岩鳶高校の部活動、部員らの思いなどを丁寧に掘り下げられなかったの残念かな。
そこは、3期の本筋ではないので仕方ないのかもですが。

9話目からは好きなので、尺を調整して魅力的なキャラたちの日常をもっと多めに観たかったな、
という点でちょっと残念に思う今シリーズでした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2021/10/14
閲覧 : 263
サンキュー:

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