福松 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
つくなら嘘はひとつだけ【一番下に未視聴の方向けの推薦文を追加しました。2022-0322】
第一話を視聴しました。
私の好みのジャンルのひとつに、現実世界にひとつだけフィクション要素を入れて、できるだけリアルに話が展開する、ってのがあります。
「嘘」と表現するのはちょっとニュアンスが違うかもしれませんけど、タイトルとして暫定的に使わせてもらいました。
本作がそのように展開するのかどうかはまだわかりませんが、希望を込めております。
米ソの国名など固有名詞は使いにくと思うので、それを別称で表現するのは嘘には含まれないという感覚です。
本作は題名にまず惹かれました。ロマンしかないです。配信に感謝です。
吸血鬼物も好きな作品が多く、どんなものかと視聴しましたが、なんとなく上記の期待に沿ってくれるんじゃないかと期待が持てる出来でした。
ただ「少年少女」というには年齢が高いと思いました。
こんな細かい事なんか吹き飛ばしてくれるのではないかと思いつつ、視聴を継続します。
2021-1103追記 ネタバレ有りに変更
第四話を視聴、全体の進行に派手さはありませんが、訓練と登場人物の心情描写が主で、イリナの熱い思いが明らかになったのが良かったと思います。ロケット本体の不安もあり、ゆっくりとですが盛り上がってきています。
ただ、スケートのシーンで、両足滑走が多かったり、重心やその変化が変テコだったのが残念でした。「月夜の下、吸血鬼の女の子が湖でスケートをする」なんてシーンはそうそうないと思うので、もっと上手く作ってくれれば名シーンになったのになーって思いました。
2021-1124追記
第七話を視聴、素晴らしい回でした。
冒頭から今まで感じたことのないようなワクワク感が掻き立てれました。そして中盤以降は純粋に涙が止まりませんでした。二、三か月ぶりくらいのことです。本当に素晴らしい話をありがとう、と言いたいです。私の勝手な予想としては打ち上げは最終回だったので、今後はどうなるのだろうかと楽しみでもあり、不安でもあります。
2021-12018
第十話を視聴、ここ数話でイリナがどんどん可愛くなってきました。抑えていたであろう林原さんが本領を発揮してきました。で、これが噂のツンデレと言うやつなのでしょうか? どちらにせよ、レフに心を開きつつあるのは確かで、別れが近づいてきているのも確かです。
話はそれますが、ロシアって人気が高いですよね、私も好きです。ただし、帝政期も旧ソ連も今のロシアも、政治的な事を除きます。好きだからこそ文句を言いたい、っていう気持ちなのです。
ここまででピンときた方も多いと思いますが、上坂すみれさんです。私はライト・ミリオタでして、非常に彼女との親和性が高いです。私が追いかけている別の軍事ライターさんもロシア好きで、世間には「共産趣味者」なる言葉があるそうです。本作はこの流れに乗っかっているだけでなく、ロシア描写の良さから言って、流れを加速させうる力を持っています。色々あったけど(あるけど)隣国なんだから良い付き合いをしたいものです。舞台を旧ソ連に置いてくれた原作者の方に大感謝です。Спасибо!
前半ラストは非常に美しい吸血未遂シーンでした。鳥肌ものでした。
後半はさっき書いた嫌な面が早速出てきました。あえてこれを描き、ダメ押しでイリナに独白をさせることで嫌と言うほどの絶望感がぶち込まれてきます。
と、思っていたらイリナにも生き残る目が出てきましたし、打ち上げも間近で、かなり気になる最終盤です。
2021-1227追記
第十一話を視聴、自分好みの話で、私の嗅覚も捨てたものじゃないなって思いましたw
まず、イリナが設計局に入ることをチーフは知らない件についてですが、イリナの虚偽とイリナも騙されているの二択ですね。私は後者の立場を取りましたが、不正解だったようです。イリナの思いやりを取るか、国家の非道さを取るか。私がボスなら後者を選び、暗さを演出したいです。
視聴中は、「レフ、打ち上げを辞退して、イリナを助けるんだ! そうするしかない!」 と熱くなっていたところ、レフの方が私より遥かに冷静かつイリナをより深く理解していました。これが愛なのかな。私の精神年齢では宇宙飛行士になれそうにないですw
打ち上げ成功、イリナの言葉をそのまま使うレフ。月は出ていないけど話題には出ました。ライカは基地名だけ? やはりリズムは大事ですね。という訳で、涙、涙、ひたすら涙です。あとはイリナの命が助かってほしい、それだけです。できたらくっついてほしいです。
うるさい放送に日中にも関わらずイリナが起きました。アーニャから知らせを受けると、放送を聞きながら外に飛び出していきます。冷や冷やものです。さて、レフの言葉を聞き、最後のダメ押しの言葉ですべてを悟ります、という瞬間のシーンを描かないのがとても良いです。ここで思い浮かんだのは、説明する(台詞→直接的描写)→間接的描写で表現する→描写すらせず文脈で知らせる、というまるで多段式ロケットのようなレベル感ですね。花丸なのです。今回は真ん中でしたね。間違ってたらごめんなさい。
ついに処刑へのカウントダウンが始まります。そしてアーニャが激おこ! 実に熱い! って、このシリアスなドラマになんちゅう演出をするんだー!って大喜びしている福松がそこには居ましたw
もしかして、次で最終回なのかな。寂しすぎます。
以下は本気観時限定自分用メモです。中身はしょぼいです。
{netabare}無理がたたったチーフ、今までで一番美しい立ちしょんシーン。朝の打ち上げか、イリナは寝ているのか。なんてこったい。チーフ復活w 息子か孫を見る目になっている、優しすぎる。ん、イリナが設計局に入ることをチーフは知らない・・・。 イリナの虚偽? いや、イリナも騙されている? これはイリナは虚偽情報を渡されていて、誅殺されようとしている。レフ、打ち上げを辞退して、イリナを助けるんだ! そうするしかない! と熱くなっていたところ、レフは嘘だったと判断したぞ。おいおい! 十五分前。もう止められない。ヤバい。粛々と進む打上。発射してしまった。良い打上だった。美しい地球。名言来るか。打ち上げ成功宣言。軌道に乗った。いや、名言ではない、イリナの言葉をそのまま使うレフ。月は出ていないけど話題には出ました。涙。
イリナ起きる。レフの言葉が自分の発言と同じことに気づく。「チャービルの花も知らなかったくせに!」 日差しの下に飛び出すイリナ。レフの真意に気づかない。「この成功を、ホロデーツでお祝いしましょう。精一杯の感謝を込めて」 伝わってくれ。イリナにシーツをかけて守るアーニャ。抱き合う二人、湧き上がる歓声。
帰還成功。議長?との電話。別荘に隔離。マスコミ対応、チーフも来る。二階級特進(死んでないけど)で少佐。チーフの名が新聞に載っていない。すべてを捨てる覚悟。イリナが心配で、満足な原稿を書けないレフ。人類への責務。甘い事だけではないと分かっていたはずだ。民衆を導く革命家になれる、とリュドミラ女史。
明日午後三時に実行せよと議長。寝てる間に処刑か。
工場長(チーフの事?)も動いていた。嘆願のふりをした脅し。機密をばらすぞ、かな。リュドミラ女史からも議長に電話。
アーニャは明日まででイリナ担当を外される辞令を受け取る。意味を理解しているアーニャ。イリナはアーニャに遺品をレフに渡すよう頼む。「お祝い」と。自分で渡すべきだと諭すアーニャ。そーだそーだ! 「宇宙への道を切り開いたあなたに、出来ないなんて言葉は似合わない」 そーだそーだ!涙。素直に「会いたい、会って、話したい」(ちょっとなまっている。地を出したのかな)と返すイリナ。しょーだしょーだ! ズルズル。立ち上がるアーニャ。これは期待できる! アーニャ激おこだー。「恋も自由にできないこの国に」 アーニャの不敵な笑み。策があるようだ。目からびーっむ! おいおい、なんちゅう演出じゃw しかし、名シーンだ。制作陣の愛を感じる。
EDでも泣いている福松。処置なしである。
次回「新世界へ」 泣いているアーニャとイリナが気になる。{/netabare}
2022-0103追記、評価確定、2つ目のお気に入りに登録実行
最終第十二話を視聴しました。これを書く前に自分の上の感想を読んだところ、泣いてしまいました。チョロすぎる・・・。
今回だけは、好きなように書かせていただきます。(いつものことやんけw)
レフの孤独。珍しいカメラの回転パン。なんでこれを他の作品は多用しないのか不思議です。作画はカクカクでした。十分、許容範囲内です。心が許容しています。
OPでも同じ福松クオリティ。あ、OPに曼珠沙華があったんですね。これまで真剣にOPを観ていなかったことがばれました。最後だから真剣にもなりますよね。曼珠沙華は86でも印象的に使われていました。
心ここにあらずのレフ。
おいw、アーニャ、なにしてんねん(涙。しかし、時間帯が・・・。
察する両親、背中を押してくれる。以下、涙は省略します。
演説中にアーナック連合王国の新血種族の居住区が映り、あ、これは放送にイリナが映るという意味だと確信しました。うん、いいね。イリナの故郷のリリット国内でも同族が視聴していますね。家族は根絶やしでしたっけ・・・。
イリナはレフを一目見ただけで満足なのか、そんなはずはない、体が限界でも彼女なら折れるはずがない、と一人で熱くなっています。
告白来るか。静寂。風の音だけ。逃亡がばれる。引いておいて注目を集めるのは普遍的だなあ。あ、告白じゃなくて、そっちかー。表情が完全に開き直っている。吹っ切れている。
言っちゃった・・・。もう無茶苦茶になるんじゃ・・・。
リュドミラ女史は確信犯と判明。白々しく「もう無理」とか完全に味方です。かなり良い役ですね。議長の決断もあり、悲劇は避けられました。今だけ、にならないといいのですが・・・。
アーニャの頭突きも綺麗に決まり、レフは差別の解消をみんなに訴えます。理想的すぎます。
民衆の心にある差別意識は簡単には消えません。それは歴史が証明しているし、人為的な努力が常に必要であることを意味しています。
陽が陰り、壇上に立つ二人。小さな拍手が徐々に大きくなる。いやいや、こんな物語を魅せてくれて、こちらこそ「ありがとう」ですよ。
さて、最大の問題のイリナの処遇ですが、民族融和の象徴に利用されるのかな、と広告中に考えましたが、どう着陸させるのでしょう。
議長の締め。手のひら返しからのKGB(運送屋)粛清は独裁者の基本です。許容できませんが、真実を描写しています。え、粛清なし? マジですか! ええ話やん。
リュドミラ女史からの暴露。うーん、このシーンは必要なかったのじゃないかな。
冷戦なんてやめようぜ、のメッセージ。冷戦さえなければ、世界中で行われた代理戦争は存在せず、たくさんの命が救われたはずなのに。
一人で大拍手。
全体を通して。
何も言葉がありません。感動しかありません。途中から書かなかったけど、ずっと泣いていました。
関係ないことなので折りたたみます。いや、少しは関係あります。
{netabare} 私のプロフィールにもありますが、私は思想的にかなり珍しい部類の人間です。そっとじを推奨です。
タイのプーケットで一か月間安宿に泊まり、天気のいい日の朝と夕方には海の上でずっと浮かんでいました。
「なんでロシア人(の観光客)は前から歩いてきても道を譲らないのだろう? こんなに歩道が狭いのに。」、そんな事を考えながら。
当時は中国の船の事故があり、主力だった中国人観光客がほとんどいなくて、ロシア人ばかりだったのです。
結論には至りませんでしたが、ひとつ当然のことを思い出しました。
ロシアの人たちは家族や親戚、先祖を多数、殺されています。日本も多かったですがその密度が凄いです。
帝政期、革命、粛清、第二次世界大戦での世界最大の人的損失によるナチスへの勝利、ソ連崩壊など枚挙にいとまがありません。100年ですよ100年。
中国人も近い立ち位置です。これは個人の行動に影響を与えているなと直感しました。(中国本土にも三か月、台湾にも一か月滞在しました。FECとかチェンマネとかメイヨーとかwww)
逃げる時は命だけ持って、他を押しのけ、我先に逃げないと死にます。死んだ人の子孫は残りせん。今生きているロシア人や中国人は生き残った人たちの子孫、というと言いすぎですが、まあ、そんな感じです。当然、逃げた時の話は子孫に語り継がれているはずです。
何となくですが、得心がいったとともに、世界の歴史の悲惨さに鳥肌が立つ思いでした。
本作はそんな現実世界に対するアンチテーゼとして、たった一つの嘘を武器に、民族差別の解消から冷戦の終結を予期させるような物語を完璧に描き切っています。
偉業だと思います。
なお、道を譲らないロシア人への対処法は簡単で、前方十メートルくらいにまで来たら、ウインドウショッピングをする振りをして顔を横に向け、歩みを遅くします。すると、向こうが避けます。我ながら大発見をした気分でしたw
{/netabare}
最後に訂正を一件。イリナは十七歳ですので少女と言ってよいです、ここに第一話での文言を訂正します。
20220322追記【ここだけネタバレしていません】
たまにスマホに通知が来るので、何かに書いた私の感想がまだサンキューされているんだ、とぼんやり判ってはおりました。で、さっきスマホに来た通知で、ふと「いったいどんな作品にどんな感想を書いたんだっけ」と訝しりながら通知メールを久しぶりに開けてみました。「この作品だったのか」とちょっとびっくりしました。自分の感想を読み直してみました。ちょっと赤面する部分もありますが、改めて本作のような理想的で夢想的な物語を堂々と世に出せる日本のアニメ制作環境に、また日本の置かれている現代世界の状況に、思いを巡らさないではいられませんでした。
アニメで世界が平和になるなんて楽観的な人間では、私は決してありません。しかし、本作は非現実的ながらも、理想を追求することの価値を改めて教えてくれたように思います。ここを読む方が居たとしても視聴済みの方ばかりだとは思いますが、万が一、ここだけを読んだ方がおられるならば、ぜひともご視聴を勧めたい一作です。強く推薦いたします。