ネムりん さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
話の内容が深くてとても面白かったです
原作が綾辻行人氏。
ホラーとミステリーを掛け合わせたサスペンス色が強いP.A.WORKS作品。
第10回本格ミステリー大賞を一票差の次点で逃しただけあって、ミステリー要素を含んだストーリー展開がとても面白かったです。
1話観たら止まらなくなる感じで、作風にあった音楽やBGM、実物以上にリアルな作画がとても惹きつけられるものがありました。
初回冒頭から物語の結末に繋がる重要な内容が次々に出てきて、或る人物が自分の身の上について話していた内容や動物が意味深に喋っていたこと、物語の途中で主要人物の親族が何気に呟いていた内容、別人だと思っていた人物が実は同一人物だったり、過去に登場人物同士が出会っていて記憶の過去改変が行われたことが何を意味するのかなど、意識して観ていないと軽視してしまいがちですが、どの内容も実は物語の核心に触れる或る人物に繋がるもので、結末を知った時は衝撃的でした。
最終話を観てから初回に戻ってみるとまた衝撃的で、所々結末へのヒントを与えているけどそれを分かりにくくして視聴者を釘付けにさせる話の展開の面白さが高い評価を与えられます。
また登場人物の心理描写も繊細に描かれていて、{netabare}榊原恒一が災厄の事件に必要以上に関わろうとするのが、(心理学上)人が過去の記憶を探ろうとする人間の行動心理に基づくもので、それが過去の夜見山の記憶をなくしていた話しに繋がっていたり、見崎鳴が義眼の真実を明かして死者の存在を打ち明けなかったのは、クラスメイトが疑心暗鬼に陥っている中で事実を伝えたところで状況は変わらないと冷静に判断していたからで、唯一義眼の存在を伝えた榊原恒一も三神怜子が恒一にとって大切な人と知っていたから明言を避け、最終話で恒一に裏庭に来ないように伝え、怜子を目の前にして迷いの生じていた恒一に言った「信じて」の言葉に想いが集約されているのが、{/netabare}人の心の葛藤を上手く取り扱った作品だと感じました。
グロ要素が強めの作品のイメージがありますが、それ以上に伏線の張り方や話の展開の持って行き方、個人の心理描写がとても優れている作品。
『Another』のために作られたALI PROJECTのOP曲『凶夢伝染』も作風に合っていてとても良かったです。