tinzei さんの感想・評価
2.7
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 2.5
キャラ : 1.5
状態:観終わった
日本だと珍しい信仰心を正当化した作品
サウジアラビアと日本のアニメ会社が合同で作った作品、といってもほとんど日本のスタッフだから、ストーリー以外は日本風の作品。
ストーリーは「メッカに住むアウスが仲間達と共にメッカを狙うアブラハの大軍勢と戦う」というもの。
スタッフを見る限り、ストーリー原案をサウジ側が担当して後は全て日本って印象。
だから作画はモロに日本。動きも良くて戦闘シーンも見応えあるけど、人が死んだり斬られた傷口は劇場版らしからぬ曖昧な描写。まあ東映アニメーションだし、全年齢向けに調整したのかもしれないけど、個人的には大人向けな描写で作って欲しかった。
原案っていうのがどこまで含まれてるのか知らないけど日本っぽいストーリーではないから、大部分はサウジ側の案かもしれない。
途中キャラたちが相手を改心させるためや自分を勇気づけるために、神や信仰にまつわる逸話を語るシーンが三つある。
一度目はアウスがズララを改心させるため。
二度目は主人公の妻ヒンドが自分を勇気づけるため。
三度目はアウスがアブラハに捕まって奇跡が起こると信じるため。
関係ないけど、二度目の時、ヒンドの中の人のせいで某ガンダムの時代説明にしか聞こえなかった。
オチを簡単に言うと「アウスが象に処刑される寸前、象が踏みとどまり、空から大量のツバメが石を落としアブラハ軍全滅」っていう、普通の作品なら超ご都合主義で片付けられそうなオチだけど・・・・・何だろうな・・・・・日本っていう信仰心の薄い国に生まれ育ったからか「奇跡を信じる」ってことに違和感を感じる。
一般的な作品だと、「自分を成長させて困難に立ち向かう」って構図で、奇跡なんて曖昧なものはNGだけど、この作品は最初から奇跡を信じて、「信じていれば神が奇跡を起こしてくれる」っていう宗教的価値観が前提にあるから、平和な日本で生まれ育った自分にとっては、奇跡を盲目的に信じる主人公より、自分の力を誇示しようとしたアブラハの方に親近感を覚える。
そういうのもあって、面白いとは感じなかったけど、歴史とサウジアラビアの教材として興味深い。ただこの先サウジアラビアに行く機会は無いだろうし、こういう信仰みたいなものは大嫌いだから、別に観る必要もなかった。
それとストーリーで一つ分からないとこがある。アブラハの素顔を見た時、アウスが驚いてたけど、どういう意味があったのかな?結局何も言わずに終わったからどういう意味があったのか分からない。