nyaro さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
良くできてますが、既視感の塊のようなアニメでした。
アメリカでは警察と犯人のカーチェイスが始まるとヘリで生放送するそうですね。これが人気だそうでそれを上手く取材して、演出に取り込みました。アメリカのヒーロー風な味付け、企業広告も斬新でした。保険会社が出てこないのが不思議なくらい、アメリカっぽかったですね。
企業の金の理屈とヒーローの理想というテーマ…というほどではないですが背景もありました。
バディもの、親を殺された復讐、能力を失う、家族に隠す、法によらない裁き、実はこの人は、真の敵、機械化された最強の敵などのオーソドックスな話をうまく組み合わせて、なかなか面白いストーリーだったと思います。
ヒーローの奥さんが離婚じゃないのが、アメリカっぽくないですが、家族の関係性からいって適切な選択だったかなと。
アニメの出来もサンライズらしく抜くところは抜いていましたが見せ所はしっかり奇麗ですし、企業広告という緊張感があるのがいい方にでたのでしょうか。変身後のヒーローはCGなんでしょうが見ごたえがありました。
と、いろいろ褒めどころはあるのですが、何か「ああ、面白かった!」の「!」が無いアニメなんですよね。
一番感じるのは、キャラの性格造形がテンプレなんですよね。ヒーローものの映画設定そのままというか。アメリカンヒーローをオマージュするのは別にいいのですが、芝居の中で芝居をしているような紙芝居感というか…。
黒人の女性的な男性とか、気弱な少年とか、貪欲なキャスターとか、企業の幹部とか、黒人署長ではなかったですが上司とか…まあ、どのキャラをとってもどこかで見たキャラばかりでした。
エピソードにしても、子供の発表会とか、昔の親友との確執とか、親の期待とか、本当の自分とか…演出、映像、キャラ達の演技などなど、どれをとってもハリウッドの模倣を上手くやりすぎて、新鮮味がないといいますか。最近のハリウッド映画そのものにも感じる自己模倣的な既視感のオンパレードでした。
一部の男性同士のカップルをお楽しみになる趣味の方の絶大な支持があったのは、そういうご趣味の方は造形と設定を消費するようなところがあるので、むしろ、テンプレ設定、映画的な映像、そして、舞台的なお耽美なキャラが良かったのかもしれません。
という感じで、よくできているアニメでしたし、つまらなくはないです。主人公をとりまくエピソードも娘との関係とか一つ一つ普通に面白いと思います。ただ、吹き替え版のハリウッド映画のテンプレヒーローものをわざわざアニメで見なくても1時間40分くらいで終わるならそっちでいいやという感じでした。
なお、JKのブルーローズは可愛かったです。アメコミテイストで萌え成分が圧倒的に不足している中、癒しになりました。見た目も良いですが、性格もなかなか良かったです。