ざび さんの感想・評価
3.0
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 2.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:今観てる
今を頑張る人に観てほしい
これは実際に芸術系大学受験を経験した人にしか描けない作品で、原作の山口つばささんもやはり芸大出身者ですから納得の内容です。
私自身も美術系高校から3浪で芸大へ入学し、挫折し中退した経歴があります。もうウン十年も前の出来事ですが。
そういった経験からか原作を読んでいると、若かりし頃に努力と青春を全て絵に捧げてきた事を思い出して少し胸が苦しくなります。
絵を描くという事はどういうことか、モノの本質とは何か、芸術とは何か、学べば学ぶほど苦しさは増えていき、結局私はそれを重圧と捉え、人生をかけて絵を描き続ける覚悟もなく挫折し逃亡。筆を置くことになります。
あれから時は経ち、このブルーピリオドを手にする機会があり、あの時代をあまり思い出したくないと思いながらも読み始めました。
嫌いだったデッサンも、何百枚も描き続けると空気の流れまで見えてくる。あの瞬間が大好きだった。
どうやったら上手くなれるか友達と夜な夜な議論する熱苦しさも、ただただ楽しかった。
でもそれは受験の為の努力で、芸大に受かる=ゴールではない事を知るには私は若すぎた。
芸術系大学の受験で描かされる絵は所謂「受験絵」で、当たり前だが予備校で教わる事も一辺倒。
作品を読む限り恐らく今の時代もあまり変わっていないでしょう。
しかし受験に成功しても途中で挫折しても、ひとつも無駄な事はない。自分自身で考え表現する事が如何に大切か、それを実感できる日がくるからだ。
激しく特殊な芸術系大学受験という世界で、今を頑張る若人たちにそれを分かってもらう為に漫画というカタチで表現してくれた作者に敬意をはらうと共に、せっかくのアニメ化ですし、多くの人達にも観ていただきたいです。
私もこれを機会に、ロフトに封印してある画材を引っ張り出してみようかと思います。