「結城友奈は勇者である 大満開の章 (TVアニメ動画)」

総合得点
72.3
感想・評価
169
棚に入れた
561
ランキング
1169
★★★★☆ 3.7 (169)
物語
3.6
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.8

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

ナルユキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

300年分のカタルシスを貴方は感じ取ることが出来ますか?

好きな長期シリーズが完結を迎えた時、ファンなら誰もが「お疲れ様でした」という労いの言葉や「ありがとうございました」という感謝の言葉、「さようなら」という別れの言葉を紡ぎたくなるだろう。しかし“レビュー”にそれらの言葉は不要だと考えるのが私の信念である。
結局、人が知りたいのはその作品が面白いかつまらないか、オススメできるかできないかの二択だ。本作のレビューはファンとしての知識をひれらかしつつもファンとしてのバイアスをなるだけ捨てて挑みたい。

【ここがひどい:主人公の乱立と膨れ上がったキャラクター数】
本作はノベル作品『楠芽吹は勇者である』(以下、くめゆ)、『乃木若葉は勇者である』(以下、のわゆ)のシナリオを使い、前作の『結城友奈は勇者である-勇者の章-』の補完を行った作品だ。公式では勇者の章を「A面」、本作を「B面」としている。
各々の作品は『結城友奈は勇者である』(以下、ゆゆゆ)と密接な繋がりがあるものの、やはり本来は独立した作品でもある。くめゆには楠芽吹、のわゆには乃木若葉という主人公がいて当然、各々に取り巻く登場人物たちも勇者部と同じくらいいる。しかものわゆはゆゆゆから300年前の話ということで世界観そのものが随分と違っているのだ。
それらを強引に1クールに詰め合わせた弊害はやはり大きく、先ずキャラ人数はモブを除いてくめゆから6人+のわゆから6人+ゆゆゆから6人+大赦神官(安芸先生)の計19人。前に『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』のキャラ人数を酷評したことがあるが、それよりも多くなってしまった。あちらと違ってそこまでごちゃごちゃとしたストーリーではないが、各々に主人公がいる3つの物語が1クールの尺を3分割するという構成は普通に考えてよろしくない。
ネタバレレビューを読む

【でもココが嬉しい:出したからには防人優遇!】
ネタバレレビューを読む

【でもココが悲しい:のわゆは不遇】
一方で「西暦勇者編」と称される第5~8話は過去話にしては長く、のわゆの再現としての程度は文字通り“半減”された残念作だ。
原作ノベルは上下巻という『鷲尾須美は勇者である』(以下、わすゆ)の倍以上のボリュームを誇る。わすゆは単巻ほぼ全てを使い6話分のアニメ化が成されたため、のわゆのアニメ化には本来、1クール(12話)分の尺が適切である。それを4話で表現するというのは非常に強引な手法だとファンの誰もが思う所。
ネタバレレビューを読む

【そしてココが面白い:再び描かれる最終決戦】
防人・西暦勇者の存在を知らしめた上で再び2期最終話の内容が描かれる。尺の関係で当時は泣く泣くカットしたという勇者部VS天の神の戦闘シーンや各キャラの心情描写、伏線回収などが盛り込まれ、ファンにとってもそうでない人にもより感情移入や考察の捗る濃い内容に生まれ変わっていた。人によっては「使いまわし」となじる輩も見かけたのだが、そう書く人は2期最終話の描写で満足していたのだろうか? 違うだろう? 当時の感想を思い返して欲しい。2期最終話はハッキリ書いて駆け足だった。明らかに1~2話足りないと私も思っていたし、結果「よくわからなかった」とか「結局ご都合主義じゃん」という感想が出てくるのも仕方がなかったと考える。
そういった意見を制作陣が真摯に受け止めて作られた第10・11話は言わば勇者の章最速の“リメイク”。規格外の猛攻を行う天の神。それを掻い潜り穿たれる夏凜と園子の一撃は確かに天の神に傷を付けていたし、勇者部の部長たる犬吠埼風の心情吐露で改めて皆が友奈を喪いたくないという気持ち、そして犠牲を前提として成り立たせている今の世界を終わらせたいという意思がよく伝わるように出来ていた。

【ココも面白い:神々の消えた世界】
そしてようやく、たった1話ではあるが「これから」の物語、勇者の章の続編が描かれる。なぜ1話だけか? ネタバレレビューを読む
ネタバレレビューを読む
ネタバレレビューを読む

【キャラクター評価】
結城友奈&東郷美森
ネタバレレビューを読む

犬吠埼風&樹
ネタバレレビューを読む

三好夏凜
楠芽吹のライバルとしてくめゆの話にも食い込んでくる彼女は友奈に代わって今期の主人公だったかも?
ネタバレレビューを読む

乃木園子
ネタバレレビューを読む

楠芽吹(くすのき めぶき)
防人からも1人、紹介と評価をしたい。何しろこの大満開の章、実は主人公は芽吹だったんじゃないかと私の中で専らの噂である(まあ、こんな感じで誰も彼もが主人公して尺を取り合ったのが本作の欠点でもあるんだけど……)。
ネタバレレビューを読む

郡千景(こおり ちかげ)
西暦勇者からは1人、彼女を紹介したい。
尺の関係上、大幅に削られた『乃木若葉は勇者である』パートだがやはりというべきか、彼女を中心にして話が組み立てられていた。
ネタバレレビューを読む

【総評】
4年ぶりの続編ということでかなり期待値が高まっていた本作だが、フタを開けてみれば小説で出ていたスピンオフ作品を2作詰め合わせたちょっと無理のある3期だった。1期・2期内容をきちんと把握しておかないと各パートの時系列すら捉えることは難しく、前作の見直しを怠り、小説シリーズも読んだことがないアニメ勢にはかなり厳しい内容だと言わざるを得ない。
ネタバレレビューを読む
一方でくめゆは原作再現としては及第点(まあ、描いてほしかったイベントもあるが)であり結城友奈たちに関われるようなアレンジも施されていて物語・キャラクター共に魅力的に仕上がっていた。
作画も地味に向上しているように感じる。今作は試合や組手という形で“対人戦”という動きの激しいシーンが多く挿しこまれていたが、それでもあの凛々しさと可愛さを両立したBUNBUN氏原案のキャラクターデザインが崩れることはなく、夏凜VS芽吹や若葉VS高嶋のシーンは息を呑むような殺陣として描かれていた。あとは一部、3Dをゴリゴリに使う所さえ無ければ文句無しの作画だと言える。
────後はもう、観る人が『勇者である』シリーズをどれだけ好きでいるかで本作の評価は変わってくるんじゃないかと思う。
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2022/01/24
閲覧 : 524
サンキュー:

16

結城友奈は勇者である 大満開の章 のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
結城友奈は勇者である 大満開の章 のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

ナルユキが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ