芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
キッチュにならない空想的な青春セカイ篇
ストーリーはめくるめく止めどない空想のようで掴みどころがない。漂流した学園の政治劇から始まる物語は徐々に輪郭をなくして世界をめぐるファンタジーになる。意味ありげでしかしおそらく大した意味を持たない象徴的な事物の氾濫は心を掻き立てる。
その夢のような自由な冒険の旅路は、しかしずっと小説的な写実主義に寄り添い、最後に語られるテーマは世界に対する現実的な諦めに胸を打たれながら希望を胸に生きることが人生だという本質だ。
絶対にキッチュにならない絶妙なバランス感覚があり、美学を感じさせる。もしかしたらそれは古臭くて、青臭い、しみったれた美学かもしれないが。
その美学が一番のこの作品の魅力だと思う。
【蛇足】
表現より設定や整合性を重視する人間には多分合わない。物語のジャンルについてミスリーディングを重ねているのは面白いが裏切りを招いている。