nyaro さんの感想・評価
2.4
物語 : 1.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
ナノに対する扱いは虐待にしかみえません。非常に不快なギャグセンスでした。
さて、本作について一番言いたいことはナノの件です。ナノに対する博士の態度は究極のイジメでした。相手の嫌がっていることをやり続ける、しかも相手のコンプレックスであるロボットであるということを利用して徹底的に痛めつける様が、残酷すぎて正直笑えませんでした。
「ごめんごめん」でロボではないようにどんどん人間らしくしてゆくならまだいいですが、それがありません。
また、周囲の人間が、本人が隠したがっている秘密を暴く様をギャグにしています。周囲と友達関係は作りますが、どうもナノの出自に同情というか興味を持ってというか本当の友情ではないように見えますし。
ナノの気持ちになると胸が痛くて仕方がありません。最後はハッピーになれるかと思い不快なのを我慢して見ましたが、結局解決はされません。
まして、意思に反して改造されるとか…ギャグテイストだからまだ見られますが、リアリティのある文脈に置き換えればその悲惨さ、辛さが分かると思います。
昨今「痛み」を笑うのがどうかということが問題になっていますが、私としては、そういうレベルを通りこしていると思います。身体に障碍がある子を産んだ母親が自分の子供をいじめているレベルの虐待にすら見えます。
本人はどうしようもない身体の欠陥を自分の楽しみのためにイジメ抜く様は、本当にこれをTVで放送していいのかというくらい不快でした。
もう1つの不快な点。日常という題名と裏腹に、日常系に見えて実は不思議なことばっかりというシュールギャグアニメでした。で、その日常のずらし方がマンガやライトノベル等の他の漠然としたパロディになっていました。
この構造が、メタ的には毒の方向が他のクリエータというか作品を揶揄するような形で消化しているので、ちょっと不快なメンタリティが見え隠れしました。
主要キャラでは、JK3人組はまあ普通の日常系です。ここを不条理なギャグに置き換えることでの「ずらし」でした。後からいいますが3人の間のギャーギャー騒ぐギャグは思いやりの欠片もない不愉快なものが多かったです。
ナノというロボと博士の組み合わせですね。これは藤子不二雄的なSFを感じさせました。キテレツ大百科とかが近いかもしれません。
それからウッドキューブはラピュタですかね。
囲碁サッカー部は「変った部活モノ」でしょう。まあ、00年代のラノベにいっぱいありそうですが、感覚的にわかりやすいのは、松本人志的な視点のギャグですが、本人たちにとっては価値あるものとして懸命に取り組んでいるものが一般人が外から見ると理解できない、ということを滑稽に表現していました。それが人それぞれに行き着くならいいですけど…どうも悪意しかないというか…。
校長対鹿とか教頭との対立は学園陰謀ものとか学園バトルものでしょう。
鹿に乗ってくる金持ち男の話と恋愛の話は風変りな主人公に恋するラブコメです。
とにかくどのパターンをとっても悪意に満ちている気がします。ブラックユーモアというにはちょっと違って、やっぱり揶揄というか貶める意図があるというか、そういうパロディに見えました。
その他のギャグの方向性としても、焼サバと焼そばのところとか、メガネの子のいたずらとかも洒落にならないことが多くて、苦笑いもできないムカムカするようなギャグセンスだったと思います。
面白かったのは、大工コーヒーの注文するところと、カラスがしゃべれるようになったところくらいでしょうか。
ということで、日常という題名に対するずらしをギャグにしたためにこうなったのでしょうが、面白くないからというよりは、ギャグセンスのメンタリティが不快なアニメでした。