ひろたん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
花が美しいのは何のため?鳥が鳴くのは何のため?
この話は、ロボットものと見せかけておいて、そうではありません。
むしろその特殊な操縦方法こそがこの話のキーとなります。
ロボットは花の名前にちなんだもので、男女1組となって操縦します。
操縦者は、ステイメン(おしべ)とピスティル(めしべ)と呼ばれています。
この話の背景は、不老不死を得る代わりに生殖能力を失ってしまった人類です。
失ったというより、必要がないからと自ら進んで切り捨てたと言った感じです。
つまり、生殖なんて「そんなめんどくさいこと」する必要ないと言うのです。
しかし、それでいいのでしょうか?
花が美しいのは、子孫を残すための生存戦略です。
鳥が鳴くのは、パートナーを探す求愛行為の1つです。
人間だって、着飾り、惚れた腫れたに一生懸命です。
しかし、人間は、不老不死得ると相手を積極的に求める活動はしなくなります。
そのため、ただただ静かに「凪」のような生活を永遠に送るのだそうです。
では、人間らしさっていったいなんでしょうか?
それは、限りある命を燃やす中で、いかに次の世代に新しい命をつなげるか。
それに一生懸命になれるからこそ生まれるのが人間らしさです。
この物語では言います。私たちはみんな、いろいろめんどくさいと。
でも、それでいいのです。こういうのの積み重ねが生きていると言えるのです。
そして、登場人物たちは、自分がいなくなる前に何かを残したいと思い始めます。
この物語は、男女の愛の結晶のあり方について、ど直球の勝負をしてきました。
その象徴がロボットの操縦方法にも表れています。
ちなみに、露骨な性的表現はありません。
しかし、コドモには分からないけど、オトナになら分かる。
そんな、いちいち確信犯的な言い回しや演出はでてきます。(特に2話目)
そこは、賢い大人のみなさん。クールに苦笑いで見守りましょう。
タイトルの「DARLING in the FRANXX」は、そのままの意味です。
しかし、その本当の意味が分かるのは、終盤になってからです。
そんな終盤(21話)からは、話が思わぬ方向にぶっ飛んでいきます(笑)
それまで積み上げてきたものを気持ちよく一掃してくれました。
それをサプライズと見るか、開いた口が塞がらないと言うか・・・。
22話からは、さらに「うわぁ。もしかして、やっちゃった!?」と思います。
でも、それは見せ方の問題で話の筋自体は悪くはないです。
そう思うと、そんな演出も「まぁ、よし」と許せるから不思議です。
このお話を観ていて、やはり思い出すのは児童文学の「泣いた赤鬼」です。
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【泣いた赤鬼】浜田廣介作 あらすじ
{netabare}
とある山の中に、一人の赤鬼が住んでいました。
赤鬼はずっと人間と仲良くなりたいと思っていました。
お菓子もお茶もあるから遊びにきてと人間に伝えました。
しかし、人間たちはそれを疑い、誰一人遊びに行きませんでした。
赤鬼は非常に悲しみ、落ち込みました。
それを見かねた友達の青鬼が人間と仲良くする手助けをしてくれました。
それは、青鬼が人間を襲うので赤鬼がそれこらしめ人間を助ける作戦でした。
作戦は成功し、赤鬼は人間と仲良くなりました。
しかし、それ以来、青鬼は赤鬼の前に姿を現さなくなったのです。
実は、青鬼は人間と仲良くなった赤鬼を気遣い置手紙を残して姿を消したのです。
それを知った赤鬼は、涙を流して泣きました。
{/netabare}
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この話は、結果的には、赤鬼さん、青鬼さん、両方にとって悲しいお話です。
もし、この話に続きがあるのなら、また仲良く一緒になれるといいなと思います。
そう思いながら、この「ダリフラ」を観るのも乙なものではと思うのです。
この作品は、観ても損はないと思います。
自分はこう言う設定は好きです。
古代文明が存在し、なぜ滅んだのか。王道のロマンです。
そして、その理由が実は全宇宙の出来事とつながっていたなんて、SFです。
確かに突っ込みどころも、えぇーって思うところも沢山あるのも事実です。
最後は面白かったのか?これはいったなんだったのか?の区別も曖昧になります。
それでも、とても壮大な後味感を楽しむことができる作品だと思います。