キャポックちゃん さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
悪徳貴族に天誅を
【総合評価☆☆☆】
悪の帝王モリアーティは、ミステリー執筆に飽きたコナン・ドイルが、ホームズの最期に相応しい敵役として登場させた急造キャラ。人物像は類型的で設定に無理があるが、そのことが逆にシャーロキアンたちを焚き付けた。「ホームズがわざとモリアーティの人物像を歪曲したのでは」「彼が関与した事件は政治的意図で隠蔽されたのかも」---そんな議論が戦わされ、多くの作品に原作小説とは異なるキャラとして登場する(私は島田荘司の爆笑パロディが好き)。本作も、そうした「モリアーティ異聞」の一つで、『必殺シリーズ』よろしく、法律で裁けない悪徳貴族に天誅を下す姿が描かれる。
モリアーティとは何者かを語る冒頭の5話は、文句なく面白い。中でも、第4話「希少な種」と第5話「橋の上の踊り子」は、短編ミステリアニメとして傑出した出来である。ホームズのキャラ設定がやや平凡で物語も大味になったため、第6話以降はそれほど関心をそそられなかったものの、 脇役の描写はかなり凝っている。特に、原作ではホームズの賞賛に値する女性とは思えなかったアイリーン・アドラーが、共感できる人物として思い入れたっぷりに描かれる。ただ、マイクロフトはイケメン過ぎるような気もするが…。