キャポックちゃん さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.0
作画 : 2.5
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
演奏シーン(だけ)はすごい
【総合評価☆☆☆】
津軽三味線をフィーチャーしたアニメ。人物描写に深みがなく、プロットには無理があるが、それでも、演奏シーンの圧倒的な迫力に呑まれてしまう。
主人公は、名人と謳われた祖父の死をきっかけに、単身上京して自分の進むべき道を模索する少年。もっとも、彼が何を望んでいるかは曖昧なまま。飛び入り参加したライブで素晴らしい名演を聴かせたかと思うと、人気三味線奏者を前に急に意欲をなくしたかのような凡庸な演奏をする。やる気スイッチがどこにあるのかわからず、見ていてもどかしい。
さらに意味不明な言動を見せるのが彼の母親で、他者の意志を平気で踏みにじる傲慢な人物としてカリカチュアライズされながら、しばしば強引にストーリーの方向性を決定してしまう。結局、ドラマのきっかけとなるモチベーションが描かれないまま、話がダラダラと進んでいく。主人公以外は初心者ばかりの津軽三味線愛好会が、大して練習もしていないのにコンクールで好成績を収めたりもする。
そんな面白くもない話に突如として割り込んでくるのが、津軽三味線の凄まじい音響。強烈なダイナミズム、ロックやポップスとはまるで異なるリズム感、単純なのに心を打つ音階。そこに奏者の姿と心象風景が映像として加わることで、聴覚と視覚双方からの刺激が相乗効果を生み心を揺さぶる。特に、第5話の連弾はすごい。演奏シーンのためだけに、アニメ全12話を見通す価値は充分にある。